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「……」
永瀬『……』
大手チェーンのファーストフード店
その隅っこで、やけに紫色が目立つ2人の影。
一応テーブルの上にはポテトと2つのジュース
しかしお互い手はつけない。
まるでお葬式のような空気を、私は自ら破ってみる。
「…あ、あのぉ」
永瀬『食えよ、ポテト。』
「……」
永瀬『せっかく俺が奢ったってんから。』
私はこいつの魂胆を知っている。
しかしギロッと睨みつけても彼には通用しない。
なんだね。口封じにポテトを奢るって。
馬鹿げてるよ本当。
「いらないです」
永瀬『早よ食えや』
「…いや、別に食べてもいいですけど」
永瀬『食ったらこれでチャラな』
「はい？」
彼の魂胆はきっとこれ。
彼はオタクだと私にバレて今、少々焦っている。
恐らく周りには隠したい、彼の今の姿。
バラされたら彼はどうやら人生の終わりらしい。
なので主導権を握っているのは現在、この私だ。
しかし！
私が今ここでこのポテトを一口でも口に含めば
ポテト食ったな？お前な？
俺が奢ってやったポテト、食ったよな！？
と、立場が大きく逆転する。
なんて事を思っているらしいのだが、
「…ポテトなんかで駆け引き。…ふっ…」
永瀬『……は？』
「あ、…すいません。つい」
お可愛いこと。
相当、彼は今余裕がないんでしょうな。
私は、はぁーっと重いため息を吐く。
机の上に肘をつき、足を組んで座る
目つきの悪いヤンキー永瀬を見つめて。
「…何故、隠すんですか？」
永瀬『なにが』
「別に良いじゃないですか。他の人にバレても」
永瀬『お前と一緒にすんな。』
はいはい。
私はもともと地味ですからね。
オタクだろうがなんだろうが、
そもそも周りの人々は私に興味なんてない。
永瀬『なに、もしかして俺のこと恨んでんの？笑』
「……？」
永瀬『日誌。俺と一緒に書きたかったんやろ？笑』
「…はい？」
永瀬『…アホらし笑 書けやあれくらい一人で』
おーおー、なんだ開き直りか？
コーラをゴグゴクと喉に流し込み、
相変わらず不気味な笑みをこぼし始める永瀬くん。
そして、
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永瀬『バラしたら、お前のこと潰すで』
.
ヤクザ映画の世界ですか、ここは。
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作者名：ayu
| 作成日時：2021年1月31日 1時
