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先輩は、多分だけど。
今、相当怒っている。
馬鹿にしたようにフッと笑い、
そして吐き捨てるように嫌味だけを残して
そのまま無言で車を走らせる。
という、
世界一、恐怖な空間を作り上げた先輩。
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昨日、先輩から渡された資料。
確かに持ち帰る事もせず、
デスクに置いたまま帰宅した私。
理由なんてない。
忘れてた。
ただ、それだけ。
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営業先では、
ただ永瀬先輩の隣でニコニコして終わり
車内ではお互い一言も話す事無く、
今日が終わる。
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永瀬『お疲れ』
「…お、…お疲れ様でした。」
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先輩の背中を見届けた後、
私はデスクの上をただボーっと眺めた。
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海人『A、帰ろぉ』
「……。」
海人『え、無視？』
いつものように、
退勤後に真っ直ぐこちらにやって来た海人は、
不思議そうに私の顔を覗き込んでくる。
海人『また、先輩に何か言われた？』
「……。」
私はコクリと頷くと、
机の上に肘をついた海人は静かに笑った。
海人『ツラい？』
「……。」
そして今度は、目に沢山の涙を集めて
私はもう一度小さく頷く。
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海人『…そっか。』
「……。」
海人は、
私の涙に気付いたのか、
優しく背中をさすってくれた。
海人『愚痴、聞くよ？』
「……。」
海人は、そりゃいいよね。
優しく教えてくれる先輩だもん。
永瀬先輩は話しかけても、
なに？なんで？うん。それで？
と、冷たい一言で返されるだけだし。
初日から酷い言われようだったよ、私。
お前話聞いてんの？
フワフワしてるなら帰れ。
一回しか言わんで。
最初からメモ取れよ。
申し訳ございませんでした、やろ。
ずっとそこ座っとくつもり？
待ってても誰も教えてくれへんで。
お前、昨日俺が渡した資料見てもないやろ。
…ほら。
…酷いでしょ。
海人『んふふ、愚痴んないの？』
「……。」
でも、
.
.
海人『あ、愚痴とかじゃないんだ？』
「……。」
そうなの。
そうなんだよ。
だって悪いのは、
.
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「…全部、…全部…っ…私が悪いんだもん。」
海人『んふふ。そっかそっか。』
「…っ……うぅ〜…っ…」
全部、私が悪いんだ。
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作者名：ayu
| 作成日時：2020年9月7日 12時
