～先輩の隣は～【永瀬廉】 (ページ5)

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「…おはようございます。」

永瀬『おはよ』

あ、一応挨拶はしてくれんだ。

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重い足取りで迎えた

社会人2日目。

辞めたい、行きたくない、逃げたい。

そんな呪文を小さく口にしながら電車に乗って

海人に背中を押されながら、なんとかやって来た。

私の顔も見ず適当に挨拶をする永瀬先輩に、

朝から怯えながらも、隣のデスクに大人しく座る。

遠くの方では、

海人『アハハハハッ！！マジすか！？えぇ！？』

神『いや、本当なんだよ！』

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…ッチ

楽しそうだな、おい。

羨ましいぃー

ねぇ、変わってよ海人。

この鬼と変わってよ。

永瀬『お前、なにしてんの？』

「は、はい！！？」

永瀬『……。』

ボーーッと海人達を見つめていれば

冷たぁ～い先輩の声が耳に届き

私は、ビクッと身体を跳ねさせた。

声のする方に身体を向けると、

永瀬先輩の薄茶色の瞳が、鋭く私を捉えている。

永瀬『ずっとそこ座っとくつもり？』

「…え、いや。」

永瀬『別に俺は困らんけど。』

声だけでトゲを感じる。

だけど先輩の怒っている理由が

いまいちよく分からなくて

私は目を泳がせていると、

永瀬『自分から行動せな。』

「……で、でも、」

永瀬『なに？』

ねぇ、ちょ、何ってなによ。

そんな綺麗な顔で詰められたらより一層怖さが増して

私みたいな弱々人間は簡単に萎縮すんだよ。

だって、まだ2日目だよ？

何か指示してくれたらやるよ？

なのに、ちょっと冷た過ぎない？

「…何をすればいいのか」

永瀬『それを早く俺に聞けよ。』

「え？」

永瀬『待ってても誰も教えてくれへんで。』

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じゃあ、

先輩も聞きやすい雰囲気作り

頑張って下さいよ。

「…はい。」

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あーあ。

帰りてぇ。

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私は、特に不真面目でも真面目でも無かった。

冒頭でお伝えしたように

今思えば馬鹿な髪色をして

平然と通っていた大学時代。

大学で何を学んで、何を身につけたかと聞かれたら

それもはっきりと答えが見つからないまま卒業し

適当に面接をして受かった会社にやって来た私。

いわゆる、甘ったれた人生を歩んで来た。

優しく丁寧に教えてくれる先輩が良い。

もっと緩く働きたい。

この時の私は、何に対しても

適当だった。