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『あ…新八く、ん……』
前を歩いている新八に声をかけたが、聞こえていないのかズンズンと進んでいく。
よく見ると、その前には銀時が歩いていた。
「言っとくけどねェ。僕はずっと万事屋にいますからね。家族と思ってくれていいですからね」
涙を流しながらそう言う新八は銀時の横を通り過ぎて言った。
「やめるとか言ってなかったっけ…」
頭をボリボリとかく銀時に後ろからAが声をかけた。
『聞いてたのかもね。星海坊主さんとの話』
「…なにが」
『あの子なりの優しさなんだろうね。受け取ってやったら?』
「だからなにが」
『ほんっとに、お前は面倒だね』
「…っせ」
素直じゃないねぇ、とAは言いながら銀時を追い越して行った。
「おいコラ」
『なに』
「なんだ、そのー…」
『はっきりしてよ』
「……あんがとよ」
目を逸らしながらお礼を言う銀時。
改めて礼を言うのは照れくさく、目を逸らす。
Aは昔と変わんないなぁと思いながらフッと笑った。
『お礼を言われるような事はしてないよ』
そう返した。
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作者名:東雲 | 作成日時:2023年1月25日 0時