それでも空は 3 【夏油傑】【五条悟】

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Aside






数学や物理が好き



答えは1つになるから



公式や前提条件あってこそ答えを導く事が出来る



そういう決まりきったルールでやればいいだけなので簡単だ




でもそれは全部机上の空論でしかない






数学で例えを出すなら極限という物がわかりやすい




「0に限りなく近いものは0」という考え方を使う




でも現実の世界で言うならその考えは間違っている




「0に限りなく近いもの」は0に限りなく近いものであって「0」とは別のものだ





物理で例えるなら問題文によくある前提条件がわかりやすい




空気抵抗は無視する、摩擦は考えない、真空状態で考える




実際では有り得ない前提条件を課して考える






私達が生きている世界には前提条件も公式も無い





全てが例外、曖昧なのだ







英語がいい例かもしれない




「I love you」を夏目漱石は「月が綺麗ですね」と訳したはずだ、的な話は有名だ




ただよく考えみよう




本来の意味は「私はあなたを愛しています」のはずだろう




それでも「月が綺麗ですね」と訳せるのは“意訳”という概念のおかげだ





意訳という概念を使うとすれば「I love you」は





「会いたい」

「またね」

「ありがとう」

「寂しいよ」

「隣にいて」





キリがないほどに訳し方がある





さらに「I love you」→「ありがとう」にはできても




「ありがとう」→「Thank you」になる




もう訳が分からないだろう





日本語にも英語にも独自の観点があってそれを結びつけようとすれば曖昧な繋がりが生じる







私達が生きている世界は酷く曖昧なんだ





そういう曖昧なもの、私は嫌いだ

















悟は理系の教科が好きだ




傑は文系の教科が得意だし




感覚派の硝子は全てそつなくこなす







多分みんなは0から1を生み出す力を持ってる




私には無い力




発想力が豊かで素直に尊敬する




私ができるのは1から2や3に引き上げる事




応用力はあるけど、やってることは全て模倣だ




見た事のあるものでしか考えられない





だから曖昧なものから正解を見つけ出せない






そういう所で自分とみんなとの間に大きな壁を感じてしまう、




以前よりもっと感じてしまう、



















そんな事を考えているといつの間にか座学の授業は終わっていた





先生をしてくれた補助監督の人が教室から出ていくと







灰原 「失礼します！！」





灰原が入ってきた

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