それでも空は 2 【五条悟】【夏油傑】 (ページ26)

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Aside

うるさく轟いていた音がバックミュージックになっていく

次に聞こえ出したのはドクドクという鼓動

夏油「好きだよA、」

左頬が熱い

私の体温なのか傑の体温なのか分からない、

A 「え、？」

私を射抜くその視線も火傷しそうなほど熱い

知らない、

私、知らない、

こんな傑、私は知らない、

傑が私を好き、？

何を言えばいいとか、どうすればいいとか何も考えられなくなって、

ただ視線を右下へズラした

サッと落ちた髪を傑が耳にかけてくれると

耳まで熱くなる

“私も誰かに愛されるより誰かを愛したいね”

いつかの傑が言ってたこと、

なんでそれを今思い出すんだ

私は“愛”も“好き”もよく知らないのに

なんで、

なんで、、

なんでこんなに胸がザワつく

夏油「こっち、向いてくれないかい？」

またいつものだ、

子供に言って聞かすような口調で

左頬を撫でながら、

A 「、おかしいよ、、なんか、」

絞り出すように出たのはそんな言葉

おかしいのは傑だけじゃない、

私だっておかしなことになってる、

夏油「そうだね、、今私はおかしいんだ、」

なんの説明にもなってないよ、それ、

夏油「返事は要らないし忘れてもらって構わない」

A 「な、、

触れるだけ

1秒か2秒か、傑は触れるだけのキスを落とした

離されていく顔は赤らんでいて

離れていく手の体温は溶けるほど熱くて

目に映るもの全てが、初めて見る傑だった

夏油「ごめんね、」

申し訳なさそうにそう笑って傑は離れた

知らない間に花火は終わっていて

夜風が涼しいはずなのに汗が出るほど身体が熱くて

何も理解できなかった

一夜の過ちとまで言わない

これは小さな過ちだ、