青のSP～学校内警察・嶋田隆平～ (ページ32)

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貴方side

『千佳、ちょっと待って！』

1組のみんなは教室に戻って、という涼子ちゃんの声で戻ろうとする千佳を呼び止めた。

『手首、怪我したんじゃない？』

千佳が私のそばを通るときに、手首を触っているのが気になって声をかけた。

「Aも一緒に来てほしい……」

『わかった』

涼子ちゃんと嶋田さん、私と千佳は保健室に向かった。

保健室に着き、三田先生に手当てをしてもらう千佳。

「2組の生徒は水野先生の妊娠をよく思ってないのか？だから2組の中に犯人がいると思ったんだろ」

「そうなの？成田さん」

嶋田さんと涼子ちゃんの問いに、千佳は小さく頷いてスマホを取り出した。

「SNSの裏垢で女子たちが先生の悪口言ってて……。流産しちゃえばいいのに、って」

千佳は涼子ちゃんたちにスマホを見せた。

「うそ……」

涼子ちゃんも絶句していた。

「でも、そのことを水野先生が知ったら傷つく。だから黙ってた？」

三田先生の言葉に再び頷いた千佳。

「成田さんは本当に水野先生のことが大好きなんだね。だって髪型も、スマホケースも水野先生の真似してるし。テストも英語だけいつも成績いいもんね？」

「そういうこと人前で言わないでよ……。うちの母親、仕事命でさ、あんまり私に興味ないの」

初めて知る千佳の家庭環境。

「でも水野先生は違う。嫌なことがあったときとか、困ったときとか、こっちが普通にしてても察してくれる」

「そうだったんだ……」

「ときどき思うの。水野先生が本当のお母さんだったらなって……」

「そこまで？」

「……あとAをお姉ちゃんにしたいって思う」

『えっ？わ、私？』

いきなり出てきた私の名前。

「水野先生まではいかないけど、わからないところは教えてくれるし、頭はいいし」

『それ褒めてるの？貶してるの？』

－－水野先生まではいかないけど、って言われてもねぇ。

「褒めたつもりなんだけど……なんかごめん」

『あ、ううん』

会話が終わる頃には千佳の手当ても終わっていたため、2人で保健室を出た。