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少しして、どこか神妙の面持ちの涼子ちゃんが教室に入ってきたと思うと、ふと私と目が合った。

−−大丈夫、心配しないで。

私が小さく頷くと、涼子ちゃんは頷き返してくれる。

そして涼子ちゃんは三村さんの前で止まった。

「三村さん、一緒に来てくれない?」

「今、勉強中なんですけど」

「お願い、一緒に来て」

涼子ちゃんを上手くかわす三村さんのもとに、嶋田さんがやって来てイヤホンを乱雑に取った。

「一ノ瀬先生の動画がアップされた件で聞きたいことがある」

「任意ですよね。だったら嫌です」

「じゃあ、ここで聞こうか」

「やめてください。ここ教室です」

「いいじゃん。ここでやろうぜ?」

『ちょっと真田くん』

「真田くん……」

私と涼子ちゃんの声が重なった。

嶋田さんは三村さんと向かうようにして座った。

「ブルーナイトの正体はお前だな」

「私じゃありません」

三村さんは即答した。

「3か月前、岩井達夫という官僚が収賄容疑で捕まった。事件はすぐにネット上で炎上し、岩井は晒し者になった」

−−それって確か……。

私は3か月前のニュースの記憶を手繰り寄せる。

「特に酷い書き込みをしたのが、ブルーナイトが罠に嵌めた連中や一ノ瀬先生だった。奴らは岩井と同じような酷い仕打ちを受け、いろんなものを失った。信頼や誇り、仕事、家族……。言っておくけど、ブルーナイトのIPアドレスを調べれば、素性はすぐにわかるからな?」

「アップしようと思った映像、ほかにもまだあったんだけど……全部まとめて晒せばよかった」

「どうしてそんな酷いこと……」

涼子ちゃんが聞けば、三村さんはまた即答した。

「やられて当たり前じゃん。あいつらだって人のプライバシー踏み荒らしたんだし」

「三村、その岩井っていう男とどういう関係だったんだよ」

「……」

真田くんの問いに三村さんは黙った。

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マナ - aymksbさん» おはようございます? (2021年5月29日 11時) (レス) id: d981f8438b (このIDを非表示/違反報告)
aymksb(プロフ) - ハナさん» どうぞ (2021年5月19日 18時) (レス) id: ceaa7fc47e (このIDを非表示/違反報告)
ハナ - aymksbさん» こんばんは…質問いいですか? (2021年5月19日 17時) (レス) id: 6153e9bd6b (このIDを非表示/違反報告)
マナ - aymksbさん» こんにちは・・・ (2021年5月6日 16時) (レス) id: 476929651f (このIDを非表示/違反報告)
レム - aymksbさん» 作品の一番大事な事を書くとしたら何かわかりますでしょうか? (2021年4月5日 17時) (レス) id: 59a18b3b65 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:aymksb | 作成日時:2021年2月25日 18時

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