EP.1 ページ1
*
これは私が体験した本当の恋の話。
1月1日。00時00分。
年が明けた。また明けた。今日も独り。ずっと独り。
今日も会社で先輩にも後輩にも陰口を言われる。
やってもいない失敗をなすりつけられる。
好きなものも嫌いなものもない。
嬉しいとか悲しいとか、もう分からない。
私の近くにいる人はみんな不幸になる。
そう言われた時から私の周りに誰もいなくなったんだった。
私は毎日日記を書く。
ストレス発散とかじゃなくて。
こんな日があっても生きてたんだ、って思えるように。
｢おばあちゃーん？呼んだ？｣
祖母と二人暮らし。
父と母に捨てられて、施設で育つ予定だった私を、
おばあちゃんは施設に入れるくらいなら私が育てる、
と言って私を引き取ってくれて、
それからずっと父方の祖父母と暮らしていた。
祖母｢A…ちゃんとご飯は…食べたの？｣
｢うん、さっき食べたよ。
心配してくれてありがとね、おばあちゃん。｣
そう笑顔で言う私。
笑顔でいなきゃ、泣きそうになる。
ずっと笑顔でいなきゃ、生きる目的がなくなるかもしれない。
でも私はおばあちゃんに恩返しをしなきゃいけないから。
今の仕事を手放すわけには行かない。
おばあちゃんは10年前におじいちゃんが亡くなってから、
足も腰も悪化して今は寝たきりで私が看病している。
起き上がるのも手伝わなきゃいけないくらいまで悪化した。
でもおばあちゃんと話すのは私にとって1番楽しい時間だった。
Aといると不幸になる、と言って友達は私から離れていき、
初めてできた彼氏も体と顔がいいから付き合った、
と言って離れていった。
それからまた友達や彼氏が出来ても、
私といると不幸になると言いながら皆居なくなった。
信じた私が馬鹿だった。
────私には…おばあちゃんしかいない…。
祖母｢今日は…少し身体が楽だよ…今日は…どんな話をしようかな…｣
｢うーん、じゃあ…おじいちゃんと出逢った時のこと聞きたいな。｣
身体の調子が良い時はおばあちゃんと話す。
調子が悪い時は一言も喋らず寝てしまう時もある。
祖母｢おじいちゃんとはね…東京で出逢って…
いっぱい…出かけたねぇ…｣
｢うん…｣
祖母｢それから…おじいちゃんはね…もともと…婚約者がいてね…｣
｢え、そうなんだ！｣
祖母｢それなのに…一緒に行こうって…この街に逃げてきたんだよ…｣
｢ロマンチックだね！｣
祖母｢そうだねぇ…Aにも…
きっと素敵な人が…これから現れるよ…｣
────私には…もうきっと無理だよ…。
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きなこ - 初めまして。こんばんは。最初から続けて読ませて頂きました。すごく素敵なお話で、終始ドキドキでした。物語の中でも、與那城くんの包み込むような優しさが溢れ出ていて、読んでいて幸せな時間でした。続きを楽しみにしてますね。 (2023年3月30日 23時) (
レス) @page37 id: 268a4b8156 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Miaya | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/miayahome1225/
作成日時：2020年3月9日 0時
