その線は、繋がらない (ページ24)

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また、海。でも今度は私が連れ出した。

「勝利くんに、告白された。」

事実だけを伝える。

砂浜を歩く後ろ姿しか見えない。

「付き合うの？」

「返事はまだ…してない。」

「そう。」

ぶっきらぼうな相づち。

優太は今何考えてるのだろう。

「告白されたこと、純粋に嬉しかった。

勝利くんは大切な人だよ。

でもずっと友達だと思ってたから。

少なくとも私は。

だから今、戸惑ってるの。

この気持ちをはっきりさせるべきなのかこのままにするのか。」

わかってる。

自分勝手な悩みなのも

はっきりさせる気がないのも。

できることなら曖昧なままでいたい。

それが一番心が楽だから。

「そういうのずるいよ。勝利に失礼。」

言うと思った。

きっと、叱られるんだろうなって

予測はしてた。

それでも、

「勝利くんのこともだけど、私と優太の関係もはっきりさせたかったの。」

「なんで？ただの幼なじみでいいじゃん。」

「それでいいならいいよ。でもね、伝えたいことがあるの。」

私は止まることなく話す。

ただ二人でいることが楽しかった小学校時代。

なんでも共有した。秘密も、感情も。

中学生でそれが恥ずかしいことだと知らされた。

望まぬ第三者の介入で無理やり

男と女という概念を突きつけられた。

そして無知な私は他者の目に怯え、

流されてわざと優太から離れた。

それを本当に望んでいたわけではないのに。

高校生になって自分の愚かさに気付かされまた一緒にいるようになった。

そこに勝利くんが加わって

新しい形になりながらも生活は楽しかった。

これが本来の形だと信じて疑わなかった。

今思えばなんて自分勝手だったんだろう。

優太がどう思っているかも知らないまま。

自分の過ごしやすい環境を

力づくで作り上げていただけ。

その核には愚かで臆病な私がいたんだ。

ハタチを越えてわかったこと

考えたことを全て

優太の背中にぶつけた。