その線は、繋がらない (ページ12)

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また海の近く。高台。

「ねえ、なにしてんの」

「…瞑想」

「落ちるよ。そんなとこ座って」

優太は展望台の手すりに

寄りかかって身を乗り出している。

「ここで落ちてもそれはそれで」

「自分の人生ここまでなんだなって思うじゃん？」

「思わない。全然思わないよ」

「なに？そんなムキになって」

飲み物を買って、

に飛び込んできた光景に一瞬焦った私に対し

ヘラヘラ。ケラケラ。

馬鹿らしくなってきた。

「もう、好きなようにすれば？知らない」

「出た。お得意の“知らない”」

口癖だよね、それ。

指摘されて初めて気づいた。

「そうだっけ」

「え、気づいてないの？中学の頃からずっとだよ」

「知らなかった」

「知らないを知らなかった？」

言葉遊びが面白くてたまらないような顔。

小さい時から変わらない笑顔。

「そんなの、知らない。」

顔を背けてお茶を一口。

そんな癖知りたくなかった。

私の癖を知ってることを

知りたくなかった。

「ねえ、もし本当に落ちたら悲しんでくれる？」

グラっと体が傾いた気がして向き直る。

ヘラっと軽い笑顔が私を見ていた。

でも、ここはおそらく三階。

冗談抜きで死ぬ可能性だってある。

「私が悲しまないと思うの？」

「…ケースバイケース？」

なんだろう。

今までの絆とか

一緒に過ごした時間とか

そういうの全部

ケースバイケースで済ませようとしてるの？

なんなのそれ。腹が立つ。