story 21 ページ21
*
「っ……！？」
ピクッと肩を揺らして、
うろたえたように目をそらす彼。
だが、いつまで経っても何も言わない。
それに、更に怒りを感じて
こちらから神童に迫る。
「そんなん、なかったはずだろ…？誰にやられた」
「こ、これは ちがっ…」
「何が違うっていうんだよ」
一歩退いた彼の腕を再び掴んで、力を込める。
痛そうに顔を歪める神童に構わず、半ば睨みつけるようにして言った。
「答えろよ」
ケンカ相手にふっかけるような、
ドスのきいた低い声。
まさか、神童に浴びせるなんて思わなかった。
流石にビビったのか、少し涙目になっている彼。
それでも、首を弱々しく振って、頑なに喋ろうとはしない。
…答えろ、だなんて。
答えなんて、
大体見当はついているというのに。
「…新しく来た、母親にやられたのか」
「ッ…！」
「血の繋がってない子供が憎い継母なんて
よくあるパターンだもんな。
それでやられたのかよ。
こんな……こんな酷い事されて
ずっと黙ってたのか？」
「き、きり…」
「それで最近 様子がおかしかったのか？またずっと1人で溜め込んでたのか？」
神童が怯えたようにこちらを見つめている。
それでも、口は言葉をまくしたて続けた。
彼を中心として、全ての事実が繋がる。
結局は、全部＿＿＿＿＿＿＿＿
「っ……」
ふっと、手の力を緩めて、だらんと腕を下ろした。
スー…っと怒りが静かに鎮まって、
代わりに溢れ出したのは、
悲しみと、己の不甲斐なさ。
あぁ、もう、何やってんだよ、俺…。
ただでさえ
心細くて、苦しくて、辛い思いしてる神童に
こんな顔させて、怖がらせるなんて
「…？き、りの……？」
ゆっくりと、俯いた俺の顔を覗く彼。
多少のぎこちなさはあるけれど、
その瞳に映るのは、
純粋に俺に対する、心配と疑問。
突然こんな事したのに
怒りもせず
恐れもせず。
あぁ、
やっぱり、神童だなぁ……なんて
*
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1人がお気に入り
お気に入り作者に追加
「イナズマイレブン」関連の作品
この作品が参加のイベント ( イベント作成 )
この作品が参加のイベント 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
風詠 麗音(プロフ) - 綾城さん» 返信ありがとうございます！ はい、絶対見に行きます！ この小説の中に出てきた剣城くんと彼女ちゃんの２人の関係が気になってたので、すごく楽しみです！ 時間があいた時絶対見ます！ (2014年4月21日 17時) (携帯から) (
レス) id: 7cd215395b (このIDを非表示/違反報告)
綾城(プロフ) - わああああぁぁぁっ！！///書いて早々コメントが頂けるとは思いませんでした！勿体無いお言葉マジでありがとうございますううぅぅぅー…！！更新頑張りますので、どうぞ次回作も楽しんで下さい！ (2014年4月21日 17時) (レス) id: 5bd9cb7cef (このIDを非表示/違反報告)
風詠 麗音(プロフ) - 初めまして！ 小説面白かったです！ 霧野さんの突っ込みとか面白くて笑ってましたww 次回作も見ようと思います！ 応援してます！ (2014年4月21日 12時) (携帯から) (レス) id: 7cd215395b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：綾城 | 作成日時：2014年4月20日 17時
