とある六つ子の王様ゲーム2

目が覚めたら ページ43

ふと、目を覚ました時、そこは家だった。
僕と同じ顔が五つ。いつもと変わらない光景。

「えっ…」

ありえないはずの光景に目を疑う。
だって、僕は死んだはず。
ここにいてはいけない人間なのに……。

まさか本当に生き返った…?
それともひかれたこと自体が夢だったのか。
なら、あの声も…?


｢トッティー、なんで泣いてるの??｣

｢あ、十四松兄さん…え、僕、泣いてる?｣

いつの間にか、目の前にいた十四松兄さんに思わず距離をとってしまう。

自分の頬に手を触れてみると、濡れていた。


この涙が意味するのは…あれは夢じゃない。

僕は本当に死んだのか…?

心臓の音が頭の中で谺響する。

｢トッティー、元気出してー！｣

十四松兄さんがニコニコ笑顔で笑いかけてくれる。
ありがとう。
そう言えばいいだけなのに言葉が出てこない。
悲しみと嘆きが溢れてしまいそうで、口が開けない。
はずなのに、

｢うん、大丈夫だよ。｣

口が勝手に開いた。
まるで、僕が言ってるように。
まるで、僕の意志がそうさせているように。

本当は、全然大丈夫じゃない。
今すぐにでも泣き出したい。
僕はここにいちゃいけない、みんなと別れなきゃいけない、そう叫ばないといけないのに。

僕はここにいることに安堵してる。
死にたくない。その一つの感情に僕は支配されていた。

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