とある六つ子の王様ゲーム2

相手の望むままに ページ35

なら、僕は演じなくちゃ…


一松兄さんの望む王様を。

笑え、今の僕は『王様』だから。
死ぬ間際の兄弟を嘲笑わないと。









「ごめんね、僕が王様だよ♪」



僕は笑った精一杯。



「……ｯ、やっぱり…」

一松兄さんが殺意を放ちながら、睨んでくる。

そんな顔を見て、違うと叫びたかった。
僕は何も知らないって言いたかった。

けど、そんな事をしても兄さんを苦しめるだけ

その思いをゴクリと飲み込んだ。


そして、代わりに嘘を吐いた。



「やっと、思い出したんだ…
このゲームの事、自分の事……♪」




「はぁ、はぁ……」

荒い息使い。そろそろ兄さんが死んでしまう。
泣きそうだ……

でも、ダメだといい聞かせて
少しずつ一松兄さんに近づく。


せめて、サヨナラとだけ言わせて…

酷い言葉になっても。

「そろそろ、兄さん死んじゃうね……♪
それじゃ、バイバイ〜♪」


一松兄さんが目を閉じる。
その瞬間、涙が溢れ出した。




泣いたりして…コレが僕の選んだ道じゃないか


そっと、一松兄さんを抱き抱える。


そして、僕から零れ落ちた1粒の涙が一松兄さんに落ちる。
その瞬間に、兄さんの体が一気に重くなった気がした。








「ごめん…」

そう呟いて、一松兄さんのそばで泣き崩れた。

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