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「葵さんとついこの間、会ったんですよ」
「………………え?」
「ライブで再会してから、
なんだか懐かしくなっちゃって」
“よく遊んだんだ”って、葵が言ってた。
瑞穂さんに会ったなんて、
この前、ひとことも言ってなかったのに。
なんて、
そんな事私に話す義務なんてないか。
「藤ヶ谷さんと、両想いなんじゃないですか」
ふわり、と微笑まれた。
「葵さんと話してて、
どうもおかしいな、って思ったんですよ。
Aさんの事を遠回しに聞いてくるっていうか、探ってくるなぁ、って。警戒してるって言うか。そしたら、Aの存在が恐いって言うから………」
「そんなこと…………葵が?」
“恐い”だなんて。
あの日の出来事は、
葵は知らないはずなのに。
「葵さんに譲った感じですか?
ふふ、本当にAさんって贅沢っていうか」
「…………譲ったなんて、」
「藤ヶ谷さん、奪っちゃって下さいよ」
その言葉に、
瑞穂さんを思わず見上げた。
「そしたら、裕太は私のところに戻ってきてくれるかもしれないし、Aさんは藤ヶ谷さんと思い通りじゃないですか。
…………私、葵さん嫌いだし、」
「嫌い、って………………」
「いいこぶって、完璧な彼女みたいなの
昔っから気に入らなかったんです。
…………“ごめんね”なんてききたくなかった、」
思い出すように、
顔を歪ませた瑞穂さん。
それは、とても辛そうに。
「裕太と別れた時、言われたんです。
“ごめんね”って。
葵さんにとっては、精一杯の言葉をかけたかったんだろうけど、キツかった。
“私だけ幸せでごめんね”って
言ってるみたいで」
女は、なんでこうも何気ない一言を
一生引きずってしまうのだろうか
「………………許せなかった、どうしても。
…………だから、嫌いになりました」
それは、瑞穂さんが
本気で裕太のことを思っていたから。
嫌いになりました、ってことは
彼女は本当は葵の事を慕っていたんだと思う
そして、
(あれ?Aちゃんもう着いてるって
さっき連絡きてたけどな〜。)
向こうの廊下から聞こえるのは
北山くんの声。
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あや(プロフ) - こんばんは。都合がいい、確かに……(^-^;紗菜が言う“みんな弱い”が全てだと思ってます。そして四人の選んだ結末まで読んでくださっていたらとても嬉しいです。ありがとうございました。 (2018年1月10日 23時) (レス) id: b34d9690f4 (このIDを非表示/違反報告)
ふらんだぁ_。(プロフ) - あやさんこんにちは。とても楽しく拝見させて頂いています。藤ヶ谷君はとても都合が良いですね。葵さんと別れていなかったらずっと葵ちゃんのことが好きだったくせに!何を今更。と思ってしまいます( ; ; )とても楽しいお話をありがとうございます。 (2018年1月5日 11時) (レス) id: 51125bdb56 (このIDを非表示/違反報告)
あや(プロフ) - Aさん» ずっと読んでくれてありがとう。忙しいのに遊びにきてくれて嬉しいです:-)お話、おかげで完結できました。また機会があれば遊びにきてね。ありがとう! (2017年5月4日 23時) (レス) id: b34d9690f4 (このIDを非表示/違反報告)
あや(プロフ) - ルメメさん» お待たせしました。完結しました。よかったら遊びにきてくださいね:-)ちゃんと表示変換されてますように……(;;) (2017年5月2日 8時) (レス) id: b34d9690f4 (このIDを非表示/違反報告)
A - それが切なくて悲しくて面白いんですけどね!次回で完結ですよね!?ついに主人公がどっちとくっつくのか決まるんですね!!楽しみですけど、このお話が終わっちゃうのが寂しいです。どうであれ主人公ちゃんが幸せになるのを願ってます!更新頑張ってください! (2017年4月24日 21時) (レス) id: 7231963438 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あや | 作成日時:2017年1月6日 22時