tonight.3

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「さっきコーヒーだったから、
紅茶でいいかな？」



「うん、ごめんねおしかけちゃって」





うちへと招いて、葵をソファへと座らせた。




「どうぞ、」


「……………ありがとう、…いい香り、」





テレビの脇には、
スタッフさんがくれた
ツアーTシャツ。



なんだかもったいなくて
着れなくて、そのまま。





「Aもすっかりメンバーの一人だね」



葵がそのTシャツに気づいた。



「終わったらどうするとか考えてるの？」


「うん、色々とね………、」


「そっか、」




それ以上、葵が聞いてくることはなかった。
きっと、内心はほっとしてるのかな





「あ、懐かしいな。見ていい？」


「結構埃かぶってるよ？」




本棚にあったのは、
高校のアルバム。



真面目な顔して写ってるアルバムの隙間に、





「ふふ、顔ぱんっぱん」


「これ放課後教室で騒いだ時のやつ？」


「このポーズ流行ったよね、笑」




若い頃の等身大の私たちが
たくさん笑ってた。





見つけたプリクラには、




“ずっと親友”






「懐かしいね…………、」





パラパラと写真を眺めて、
感慨深く呟く葵に頷いた。





しばらくして、




「ごめん、ちょっと出てくるね」




太輔から連絡が来たみたいで、



〉仕事終わったから、
葵にも連絡したよ



私にも太輔から連絡が来た。




「仕事、終わったって」



「そうみたいだね
私にも連絡きたよ、」









「…………太輔と連絡とったりしてるの？」






顔を上げてみれば、
葵が不安そうな目でこっちを見てた。






「ううん、実は体調崩してて
今だいぶお休みしてて…、
…久しぶりに、今連絡きたとこ、」





「………そっか、」








“葵には、ここに行くこと言ってない”


太輔の言葉を思い出す。









「っ、ごめんね！
何聞いてるんだって感じだよね私……」





「………ううん、
本当に、仕事だけだよ」







我に返ったように、
笑ってごまかす葵に私もごまかした。









「………じゃあ、ありがとう」




「ううん、元気そうで安心した」









玄関先で葵を見送った。







“ずっと親友”








私たち、“親友”と呼び合うには
もう色々とありすぎちゃったね。




大好きだった
葵の瞳、ちゃんと見れなかった。

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