♯4 ページ5
「ふーん。前来ていたあの手紙の差出人、諦めてなかったんだね。それにしても、芸能事務所からスカウトされるなんて凄いね！流石、��僕の��海くんだね！」
海よりも先にカレーを平らげた尊は、チビチビ少量ずつカレーを頬張る海に背を向け…
皿洗いなどをしながら、食事の時…ほぼ無理矢理海から聞き出した今日の話を思い出しながらそう言う。
『…あんなところにまで押しかけてきて。いい迷惑でしかない。…あと、自分ののところを強調するな。…気色が悪い。』
海は冷たくそう返答し…半分以上が皿に残ったカレーを少し申し訳なさそうにテーブルの真ん中へ持っていき…
小さな声で『…ご馳走さま。』と言うと静かにそこへ突っ伏してしまった。
「お粗末様。以前より随分食べられるようになっているね。凄いよ、充分。だから…そんな顔をしないで。」
それに、尊は何時もより数倍優しい声でそう言い…気にするなとでも言うように、優しく手を置き…カレー皿を流しに持っていく。
そうして、また背を向けたまま…突っ伏している海との会話を続けた。
「…先程、お爺様に連絡を取ってみたのだけれど…その小鳥遊と言う社長さん、本当にお爺様のところまで訪ねてきていたようだね。信頼出来そうな人だったから鍵を渡したと言っていたよ。」
「お爺様は人の本質を見抜く天才だからね。本当にそうなのだと僕は思うよ。」
会話と言っても、尊が海に自分がしたことや感じたことを一方的に語っているだけで…会話として成立すらしていないけれど。
それでも、尊は決して語りかけるのをやめなかったし…皿洗いをする手も止めなかった。
そんな2人の間に流れる時間は、とでもゆっくりで…とても穏やかなもので…海の日々の疲れや傷を癒してくれるのかもしれない。
海は静かに顔を上げ…先程、音晴に手渡されたチケットをテーブルに置く。
『…見に来い、と…言われた。俺が入ると予定されているグループのステージを。』
『…弟の、晴れ姿を。』
『…俺は、自分が見るべきだとは思えない。』
『…でも、見たいと言う気持ちがないのかと聞かれたら…頷けない。』
そうして、抱え込んだ悩みの一つをようやく吐き出したのである。
これこそが、不器用過ぎて…わかり辛すぎて見落とされがちな…
海の弱音であり、本音。
それを引き出すことが出来た時…尊がすることは、ただ一つしかない。
それは…
「行ってきなよ。僕も、海の弟とやらがどんな子なのか気になるし…見に行きたいしね。」
「ここで逃げるなんて、君らしくないでしょう？」
背中を押してやること、ただそれだけである。
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月(プロフ) - キャベツの芽さん» はじめまして！コメントありがとうございます！尊くんもちゃんと受け入れられていて、大好きだと言ってもらえる程だと知れて安心しました！本当にありがとうございました！ (2019年5月24日 17時) (
レス) id: f01d23ed14 (このIDを非表示/違反報告)
キャベツの芽(プロフ) - 初めまして|´-`)ﾁﾗｯ海くんも尊くんも大好きです！！これからも楽しみにしております！！ (2019年5月24日 14時) (レス) id: 270caf8b44 (このIDを非表示/違反報告)
月(プロフ) - Suiさん» コメントありがとうございます！これからも海くんのことを温かい目で見守ってくださればと思います。 (2019年3月26日 23時) (レス) id: f01d23ed14 (このIDを非表示/違反報告)
Sui - 続きがすっごい気になります!更新頑張って下さい！ (2019年3月26日 21時) (レス) id: 8fe2495ae6 (このIDを非表示/違反報告)
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