♯3 ページ4
街灯に淡い光が灯り出す頃…
七瀬 海は現在の自宅である小さなアパートを目指して、水辺のある公園を歩いていた。
学校帰りの学生や、遊ぶのをやめて迎えに来た親と家へ帰っていく子供。
人通りが多いこの時間は特にフードは手離せず…
万が一に風で飛ばされて脱げないように、いつもより深めに被っている。
否…
ただ、今の自分の顔を誰にも見せたくなかったのかもしれない。
表情のない自分の目から…意味も分からず流れ続ける涙を。
「お帰り。海くん、今日は早かったんだね。最近の様子の海くんだったら、何時もならもっと遅くまでピアノ弾いて帰ってくるのに。」
部屋に帰ると、もう日常風景の一部にすらなった可笑しな友人がいた。
入室の許可も何もしていないけれど、彼は管理人であるため鍵はスペアを持っているため勝手に入室するのも容易であり…
最早、不法侵入だなんだとは言って…出て行けというのも無駄に思えてくる。
しかし、海は何時ものように溜息をついて…
鍋の中身をお玉でかき混ぜて煮込み料理をしている管理人『億邑 尊』に訴えた。
『…勝手に入ってくるな。管理人とはいえ、しつこいようであれば訴えるぞ。』
「ふっふっふっ！無駄だよ。だって、海くん優しいし！そんなこと絶対しないって知ってるもの。それに、君は放置してるととんでもなく不健康な食生活になるからね。僕が作り置きをしておいてあげないと、ちっとも食べないじゃない。これでも心配しているのだよ？」
矢張り、無駄となる。
彼とは高校時代からの付き合いであるし…それなりに長く続いている関係であるため…互いのことは互いに詳しい。
故に、尊は知っているし…理解していた。
海は昔から口が悪いが、根は優しく真面目であり…自分が大切だと感じているものは何があっても守るお人好しであることも…
それ故に、自分が海にとって高校時代唯一の友人として重宝されていることも。
だから、こうしてしつこく押し掛けて…何かと理由を付けて彼を見ている。
尊もまた、海が大事だった。
「よしっと。冷蔵庫の中にいくつかあるおがずを作り置きしておいたよ。あっためればそれなりに美味しさは戻るし、あっためて食べること。それと…今作ってたのは今日の夕飯…カレーだ。君の本当の好物だよ。2人分作ったから、これから一緒に食べようではないか♪」
『…好きにしろ。』
「うん。好きにさせてもらうよ。君に聞きたいことがいっぱいあるんだ。」
こうして、今日も小さなアパートで…賑やかな夕飯が始まる。
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月(プロフ) - キャベツの芽さん» はじめまして！コメントありがとうございます！尊くんもちゃんと受け入れられていて、大好きだと言ってもらえる程だと知れて安心しました！本当にありがとうございました！ (2019年5月24日 17時) (
レス) id: f01d23ed14 (このIDを非表示/違反報告)
キャベツの芽(プロフ) - 初めまして|´-`)ﾁﾗｯ海くんも尊くんも大好きです！！これからも楽しみにしております！！ (2019年5月24日 14時) (レス) id: 270caf8b44 (このIDを非表示/違反報告)
月(プロフ) - Suiさん» コメントありがとうございます！これからも海くんのことを温かい目で見守ってくださればと思います。 (2019年3月26日 23時) (レス) id: f01d23ed14 (このIDを非表示/違反報告)
Sui - 続きがすっごい気になります!更新頑張って下さい！ (2019年3月26日 21時) (レス) id: 8fe2495ae6 (このIDを非表示/違反報告)
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