At that time11-7 ページ37
「……ほぅ」
泉宮寺の目の前を、猟犬に追われる狡噛が通った。
大胆な行動に泉宮寺は一人、感心する。
一方狡噛は、猟犬一匹に追われながら角を曲がる。
が、曲がった瞬間、もう一匹の猟犬が襲いかかってきた。
すぐさま、狡噛はスタンバトンのスイッチを入れ
襲いかかってきた猟犬に電流を流し込む。その間にバッテリーを見つける。
その猟犬の上には大量の針の山。
そのまま落ち、猟犬の身体に突き刺さった。
壊れたのを見て、バッテリーをはぎ取る。だが、泉宮寺の銃弾が襲いかかる。
「…くっ」
銃弾はなんとか外れ、狡噛はゆきの元に戻った。
すぐさま別の所に走る。
「一台仕留めた。それに…後は、アンテナだ…！」
狡噛とゆきが逃げてる間に、泉宮寺は２人を探していた。
「とんでもないヤツだ」
『狐といえどイヌ科の獣です。或いは狼の眷属かもしれない』
「さっき何か回収していた様に見えたが…槙島くん、今回のゲームについてさては何か私の知らない趣向まで組み込んでいるのかね？」
『…人は恐怖と対面した時自らの魂を試される。何を求め、何を成すべくして生まれてきたのか…その本性が明らかになる』
二人を探す泉宮寺と猟犬を観察する槙島とA。
今度はAが槙島の考えを代弁する。
『私をからかってるつもりかね？』
「…ふふっ、あの狡噛さんという男だけではないですよ泉宮寺さん。兄も、私もあなたに興味があるんです」
兄と同じく、望遠鏡で様子を眺めるA。
狡噛の名前を出した瞬間、興奮しはじめる。
「予測の事態・予期せぬ展開を前にしてあなたもまた本当の自分と直面することになるはずです」」
「そんなスリルと興奮をあなたは求めていたはずだ」
『……フン、如何にも。君達のそういう人を食ったところは私も嫌いではないよ』
靴音を響かせながら、泉宮寺は楽しそうに笑うのだった。
「……さて、狡噛慎也。君はこの問いの意味を理解してくれるのかな？」
そんな独り言が地下室に響き渡った。
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作者名：Mermaid | 作成日時：2017年7月28日 21時
