At that time11-4* ページ34
―地下室内―
「じゃあ常守朱にメールを送ったのは、あんたじゃないんだな？」
「知らないわよ！何なのよこれ！？なんであたしこんな所にいるのよ！」
事情を聞くと、船原ゆきは残業を片付けて家に帰った。
帰ったらお風呂に入り、そのままベッドで寝たらしい。本人も状況がよく分かっていない様子だった。
「目当ての獲物は常守じゃない…俺、なのか…？」
『―――地下鉄路線です。車両を操作してください』
「あ…朱の声？」
「良く出来てるが、サンプリングから合成した偽物だ。地下に入ってくるのは彼女じゃなくて代理の誰かだと最初から予想していやがった」
そう狡噛が呟いた瞬間、電車が停車した。
閉まっていたドアが開く。
「停まったの…？」
「…「降りろ」って意味かな」
電車から出ると、知らない場所にいた。
見知らぬ場所に不安を募らせるゆき。
冷静になって狡噛が連絡を取ろうとする。
でも、出来なかった。
「電波妨害だな。どうあっても俺たちを孤立させたいらしい」
「ここへ入れってことなの…？」
「言いなりになるのは
出口はわずかに空いたドアしかない。
入ろうかどうか、警戒しているとこちらに機械の犬が襲いかかってきた。
「…どうやら、選択の余地は無いらしい」
「ひっ…」
犬が全速力でこちらに走ってくる。
いそいでドアを閉め、襲われないようにする。
「キャッ！」
「ついて来い！」
追いつかれないように、こちらも全速力で走る。
ドアに体当たりする音が聞こえるが気にしていられない。まずは逃げることが先決だ。
しかし、奥にはとんでもない迷路が隠されていた。
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作者名：Mermaid | 作成日時：2017年7月28日 21時
