At that time11-3* ページ33
「…駄目だな。地下室は水没してる」
狡噛の行方が分からなくなり、公安局の面々が到着した。
地下室の入り口は水で塞がれていた。
しかもその水は廃液混じりの汚染水。そんな水を生身で浴びたら無事じゃ済まなくなる。
「でも、間違いなく狡噛さんはその先に進んだんです。それどころか壁を通り抜けてもっと奥まで…っ」
「ナビの故障じゃね？」
「ハードじゃなくてソフトの問題かも。この辺はろくな計画性もない再開発を何度も繰り返してたから…登録されてるデータが実態通りかどうか知れたもんじゃないわ」
きっぱりと言われ朱は納得する。
しかし、宜野座が横から口を挟んだ。
「…騙されたのは君だけじゃないのか？常守監視官」
狡噛は朱の監視下を離れ、位置情報も分からない。
つまり自由の身というわけだ。そうなればなんとなく察せる。
「初めから逃亡する目論見てこの状況を演出したのかもしれん」
あまりにも不快な言葉に、朱は宜野座を睨みつけた。
「あー…お嬢ちゃん？とりあえずマップデータよりナビを信じるとしてだな、狡噛がどっちの方角に向かったか分かるか？信号が妙な動きをしたりとかは？」
「妙なっていえば…途中からいきなりスーッと物凄い速さで真っ直ぐに…そうだ、乗り物に乗ったんだ……！」
それに気付き、すぐさま六合塚に指示を出す。
「過去の地図情報を照会して下さい！この辺りに南北に走る地下鉄路線がありませんか？」
「ちょっと待って……あるわね、地下鉄銀座線」
だが、そこの路線は６０年前に廃線となっていた。
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作者名：Mermaid | 作成日時：2017年7月28日 21時
