At that time8-7* ページ14
静かに扉が開き、誰かの足音が聞こえる
それに続いてキャリーバッグを転がす音もする。
少しだけ重たい荷物も、場所に近づく度感じなくなった。
今か今かと待ちわびる子供の様な気持ち
「…お早いお出ましで」
そこには、笑みを浮かべる男の姿。
璃華子は気にせず問いただす
「……それにしても槙島先生は、どうして学園内にこんな場所があると知っていたのかしら」
「元々はリサイクルボイラーの発電室だったのが、改装で閉鎖された時図面から抜け落ちたそうで。
薄暗い地下室の奥に視線を移す。
先ほど、璃華子がダストボックスに入れたキャリーバッグがあった。
中身の正体は分からないままだ。
「それで薬の方は？」
その答えに後ろを指差す。
灯油が入ってる様なタンクが、ずらりと立ち並ぶ。
そのタンクを見て期待を膨らます璃華子とは裏腹に
男は少々苦笑いを浮かべているようだった。
「…別に俺の専門は荷運びじゃないんですがね。今回は手当も弾んでもらえてますし、
こんな可愛いお嬢さんのお手伝いってんなら…まぁ文句付ける筋合いでもありませんな」
「こんな不思議なものを槙島先生は一体何処から……」
手術服に身を包みゴム手袋をはめる。
今から、本当に手術でも始まりそうな装いだ。
大きな水槽に液体が注がれていく
「誰が作ったモンなのかは知らないし、知りたくもないが……そいつはこの妙なちきりんな薬で特許を取ったり、
この男の言う通り、多くの者は槙島の元にいる。
いつも自身の才能の使い所を無視して
それどころか間違えてしまった天才達が集まって来てしまった。
男も、チェ・グソンもその一人ではあるのだが
「……私もお邪魔してもいいかな？」
「おや、あなたですか」
「水無月先生いらっしゃったのですね」
暗闇から、Aが姿を現す。
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作者名：Mermaid | 作成日時：2017年7月28日 21時
