At that time8-6* ページ13
―とある洋館―
「ユーストレス欠乏性脳梗塞」
槙島が口にする原因不明の病。
公認に病名ではないため、知名度はかなり低い。
原因不明の心不全という形で処理されている死因の多くは
この症例に該当すると言われている。
「聞いたことはある。過度のストレスケアによる
「かねてより適度のストレスは、免疫活動を活性化させるなど好ましい効果もあるとされてきた」
いわゆる、人生の『張り合い』
『生き甲斐』と言い直していいものだ。
「しかしこの時代生き甲斐と呼びうるものは、全て枯れ果ててしまった」
「……確かにそうかもしれません。サイコパス診断による精神健康管理が続いてしまった結果……ストレスの感覚が
槙島の背後からAが姿を現す。
三人分のお茶を運びながら、壮年の男に返答した。
壮大な物語を聞かせようとしている口ぶりだった。
そんなAに槙島は微笑んだ。
「こうなると、生きる屍同然です。やがて自律神経そのものが自らの機能を失い、生命活動を維持出来なくなる」
「嘆かわしい限りだな。人は自らを
「あの璃華子ちゃんのお父様も、ユーストレス欠乏症の患者だったのです」
笑ってこそいるものの、慈愛が込められていた。
まるで璃華子を憐れむように
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作者名：Mermaid | 作成日時：2017年7月28日 21時
