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ｰテヒョンｰ
ﾅﾅ「あ、スキャンダル男。あんな女がタイプなんだね。引くわ。」
「…っ、」
ﾐｵﾘ「ナナ。」
ﾅﾅ「別に私たちには関係ないから。好きにしな。でも、これ以上迷惑かけないで。」
「すみません…。」
ナナさんの冷たい声に少しだけ反発したくなる。
でも、そんなこと許されるわけない。
俺が勝手にやったことだから。
事務所に、3人に迷惑をかけたことは事実だから。
通り過ぎる3人。だけど、俺の目の前で止まったその人は綺麗な瞳でまっすぐ俺を見つめて。
全て見透かされているような気がした。
目を逸らしたその瞬間。
アヤ「1時間だけください。」
ﾐｵﾘ「アヤ？」
アヤ「今からお昼ですよね。先食べててください。私、用事があるので。1時間後に必ず合流します。」
ﾅﾅ「アヤ、」
アヤ「テヒョンさん、あなたの時間を1時間だけください。」
真っ直ぐに俺を見つめるあなたを拒否するなんてできなくて。
「はい。」
気がついたら頷いていた。
ﾅﾅ「アヤ、その人、彼女いるの忘れないこと。」
「っ、」
アヤ「…。」
アヤさんはナナさんの言葉には返事をせず、俺の手を引いて歩いた。
空いていた会議室に入った俺たち。
間髪入れずに彼女は言った。
アヤ「真実以外知りたくないです。」
「っ、なんのことですか。」
抗ってみるけれど、俺の目を射抜くその瞳にできることなんてあってないようなもの。
アヤ「私の知ってるテヒョンさんは、こんなこと絶対にしません。」
柔らかい口調に泣きそうになる。
全部話したくなる。
アヤ「でも、私の知ってるテヒョンさんは、誰かのために自分が出来ることはなんでもしようとします。」
「っ、アヤさ…」
縋りたい。
でも、でも。
アヤ「誰にも言いません。墓場まで持って行きます。
例えどんな事でも。
だから、教えてください。」
気がつけば手を伸ばせば触れられそうなほど近くにいる彼女。
でも、実際に触れてきたのは彼女の方だった。
そっと俺の頬を撫でる君は、とても綺麗で。
アヤ「今のあなたを見過ごすことは出来ない。」
その言葉に、涙が頬を伝った。
「迷惑かけて、すみませんっ…」
ああ、俺、本当に情けないな。
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作者名：あやテテ
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ayatae00/
作成日時：2021年3月29日 11時
