愛おしなんどもおろかなり Ⅱ (ページ33)

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ｰテヒョンｰ

嫌だと断ろうと思うのに、言葉が出なくて。
だって、この記事が出たら、…ナナさんはどうなるだろう。

深く傷つくことは目に見えている。

ﾄｱ「私は追われてるうちは大人しくするつもりだから、あんたがやらないならそのうち出るだろうね。」

「…っ、あんたの後輩の熱愛がこの記事と同じ価値があるのかよ。」

苦し紛れにいえば、彼女はまた笑う。

ﾄｱ「ないよ。」

「なら…っ、差し替えなんてっ、……」

ﾄｱ「あら、忘れたの？あんたもこっち側だったでしょ？オプションつきよ。

私と後輩ちゃんが奉仕すんの。

この記者が男で良かったわ。」

聞いて呆れる。
結局身体を使うんだ。

「あっそ。」

ﾄｱ「で、どうするの。」

「……やるよ。

でもこれだけは言う。

…あんたやあんたの後輩のためじゃない。

あのクソ俳優のためでもヨジャドルのためでもない。

全てナナさんのためだ。」

ﾄｱ「どうでもいいのよ、そんなこと。私には関係ないから。

はい、見て、あの子。例の後輩。

今から良いもの取れるわよって記者に言っとくから。

あんたこういうの得意でしょ。やってきて。」

背中を押されて一歩踏み出す。

今から俺は週刊誌に撮られるんだ。

この、名前も知らないあの女の後輩の恋人として。

話は合わせてあるのだろうかと振り返ればまた真っ黒な笑顔を見せられた。

ああ、きっと大丈夫なんだろう。

前髪を少しだけかきあげて、彼氏という雰囲気を装って。

「お待たせ──」

名前も知らない女の手を取った。

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