【2j3j】どーも、盈月靂です。 (ページ17)

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*side黛灰

『ん”ん〜っ！配信終わったぁ』

靂の防音室からそんな独り言が聞こえてきたもんだから、躊躇いなくガチャッとドアを開ける。

黛「おつかれ。夜食あるよ。」

『お、まーじ？ありがとー！』

眠そうに目を擦りながら広めのリビングまで歩いてくると、俺が予め用意していたおにぎりを頬張り始めた。
いつもどおりのルーティーン。

でも俺が、施設の人たちが、靂が、架空の世界の住人だと理解してからはどうも気が浮ついたままだ。

黛「…そういやさ、」

『んー？』

黛「靂はリアルの世界に行けるとしたら、行きたいと思う？」

『え〜、そーゆー話意識ぽやぽやの中しちゃう？ｗ』

黛「むしろ意識ぽやぽやだからするんでしょ。」

『この話題ってそーゆーもんなの？』とヘラヘラ笑いながら靂は手に持っていたおにぎりを置いて、徐ろに頬杖をついた。
いつの間にそんなに仕草が大人っぽくなったんだろうと少し驚きながら、話に耳を傾ける。

『まぁ、行かないよね。…いくらここが仮想の世界だって言ったって、この施設の子たち置いてけぼりにしたくないし。』

『…あと、兄貴の前で言うのも何だけど僕、野老山教授好きじゃないんだよね。から操られたくない。』

黛「…そっか。まぁ、お前が師匠のこと嫌いなのはずっと知ってる。」

『ｗうん、だよねぇ。』

昔から、俺の師匠と初めて顔を合わせた日から、ずっと靂は師匠を極端に拒否している。
まるで磁石の同極同士のように。

人に嫌われることもなく、嫌うこともない靂が、唯一好きじゃないとはっきり言う存在だ。何か理由があるんだろうし、あまり深く言及はしないけど。

黛「貴重なご意見どーも。明日、お披露目で解禁するらしいじゃん。楽しみにしてる。」

『にひひｗ字数オーバーの感想ツイートしてくれてもいいんだよ？』

黛「それは丁重に断っておくね。」

『うーん息を吐くような塩対応…』

靂がライバーになりたいと言い出したときは、本当に焦ったし悩んだ。インターネットの世界が甘くないことを、人と関わることの難しさを俺自身が身に沁みて感じていたから。

今思えば、バーチャルのこの世界で俺の周りの人が俺について深く干渉することは出来ないはずなのにと疑問に思う。

でも、心から嬉しそうな靂を見守っていると背中を押してよかったと兄として、先輩として、安堵した。

『んじゃ、そろそろ寝るね。兄貴おやすみー！あ、明日は朝から事務所で』

黛「はい、おやすみ。」

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