イカれてる ページ18
口から、意味もなく息が漏れる。
意味もなく、宗教都市のバザーを歩けば嫌でも誰かと並んで歩く人々の姿が目に入った。
母親の後をちょこちょことついていく幼児の姿でさえイライラした。
微笑ましいはずの光景は全て、憎かった。
そんな時、嗄れた不快な声が耳に届いた。
｢おい、そっちの兄ちゃん｣
｢俺か？｣
｢あぁ...お前さんだよ。
酷く面白い顔してるが...ヒヒッ。
何があったのか聞かせてくれよ｣
姿は布でくるまってあって分からなかった。
ただ、その布の間から出てる皮と骨だけの手がやけに鮮明に残っている。
俺はその男の方へ特に意味もなく寄っていった。
｢兄ちゃん...
あんたイカれてる匂いがするなぁ？｣
｢...で？｣
｢望みをちょいと教えてくれよ。
俺なら力になってやる。ヒヒヒッ｣
望み。そんなの、決まってる。
｢ただ、愛が欲しい。俺だけを見てくれる愛。
愛してくれる器はあるんだ。
だから、それを動かすための方法...｣
｢...ならよ、兄ちゃん呪術使ってみたらどうだ？｣
｢呪術？｣
｢おうよ。
おまじない何かよりよっぽど効果があるぜ？
ただ、ここは宗教都市。呪術はここじゃ使えない。
何せ、これには犠牲がつきもんだ。
それに、タダじゃ駄目だ｣
｢...いくらだ？｣
｢金じゃねぇよ兄ちゃん...ヒヒヒッ。
代償だ。呪術にゃそれがつきもんだ。
だから、タダじゃ駄目なんだよ｣
｢命か？くれてやるよ...
それだけの価値がある。
そうだそうだ、そうなんだよ...
愛されるってそれだけ価値があるんだよ...｣
｢ヒヒヒヒヒヒヒヒヒッ！！
兄ちゃんイカれてんなぁヒヒヒヒヒヒッ！！
いいぜぇ、気に入った。
教えてやる。耳、貸しな｣
男から教えてもらった呪術は割りと簡単な物だった。
人間の血を飲ませるだけ。
それは多く大変らしい。
それに酷くうさんくさい。
でも、今の俺はそれにさえもすがらないと本当に壊れそうだった。
愛されたい。
殺せば、愛してくれる。血を飲ませれば、愛してくれる。
宗教都市の店を捨てて、何の変哲もない森の近くに簡易的な店を構えた。
貴族、旅人、商人...
人間なら、何でもいい。
あの男からもらった大きな鋏の刃を研ぎながら俺は人間を待ちわびた。
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手ふぇち - 待っっっって・・・めっちゃ好き！！！ヤンデレサイコパス最高！！！！！！ (2021年9月19日 20時) (
レス) id: e31fa55851 (このIDを非表示/違反報告)
ましろ - ルヴァンネさん» ルヴァンネさん自身も忙しいですものね。無理せず、これからも続けてくださると私的には幸せです。返信どうもありがとうございました！ (2018年10月27日 20時) (レス) id: 6d01fe97ff (このIDを非表示/違反報告)
ルヴァンネ(プロフ) - ましろさん» いいえ。人形師自体はまだ続きます。あと２回３回くらいで完結になるかと思いますが、現在は未定です。 (2018年10月25日 12時) (レス) id: d6627a81ed (このIDを非表示/違反報告)
ましろ - こんにちは。人形師に魅了され、以前から他作品も楽しく読まさせていただいている者です。質問なのですが、人形師シリーズが完結になっているのは、もう続編は作らないということでしょうか？人形師シリーズが好きすぎる故、気になります。 (2018年10月23日 20時) (レス) id: 6d01fe97ff (このIDを非表示/違反報告)
通草 - 人形師筆頭の男子のギャグ… 見たい (2018年8月19日 21時) (レス) id: 499fedeecd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ルヴァ子 | 作成日時：2018年8月9日 12時
