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prologue ページ1

あぁ、あれから5年も経つのか。

旅人さんを逃がして、腹いせにクソ女を殺して
それから俺は行く宛てもなく、歩いている。

忘れようと他の人間や獣人を殺して、人形を作ったけど、駄目だ。

最高傑作の足元にも及ばない。

腕が鈍っている訳じゃない。
でも、やっぱり駄目だ。

もう、Aじゃなきゃ、駄目なんだ。

手に持った出来立ての人形を投げた。

グシャッと音をたてて人形を首が曲がり、穴という穴から赤黒い液体が流れ出る。

それから人形の胸を足で力任せに踏んだ。

圧迫させられた人形は口から勢いよくそれを吐き出して、俺の足を濡らした。

本当に嫌になる。これで何回目だ。

スラムのごみ溜めの臭いに鉄臭い臭いが混じった。

どうして俺は、ここに来たんだろうか。

あの、男娼だった頃の記憶が蘇る。

殺された家族と、壊された故郷。
そして、自分に伸びる手。

あぁ気持ち悪い。
我ながらあんなことしてたんだから。

俺に気がついた娼婦が、妖艶で下品な笑みを浮かべて近づいて来る。

胸をおおっぴらにあけた赤いドレス。

Aが纏えば綺麗だろうに、こんな下劣な女が着てしまって...ドレスが可哀想だ。

そんな俺の心情も知らずに女は俺に触れられる距離まで来るといやに赤い唇を開いた。

「ねぇ...少し遊んで行かない?」

恐れも知らずに女は俺の胸元に手を這わせて、息がかかるほど近くで、そう囁いた。

匂う。吐息に混じって煙草と夜のあの臭いが。
記憶がフラッシュバックする。

気づけば俺は、女に唇を奪われていた。

苦い味が口一杯に広がる。

続いて、口内に生暖かい物が入ってくる。

娼婦の妖美な息遣いと漏れた声。
豊満な胸を俺に押し付け、手を服の下に滑り込ませている。

女の手が、俺の体を探るように動く。

こいつは中々のやり手だな、なんて思いながら俺も舌を絡めた。

娼婦が嬉しそうな声を漏らして______
悲鳴をあげた。

俺から突き放すように離れた娼婦の口からは止めどなく血が流れている。

俺は口の中に残った舌を吐き出した。

まずいし、苦いし、気持ち悪い。

そして、女の顎を掬う。
口から血を垂れ流しながら恐怖に戦慄く顔が、とても滑稽だ。


「お姉さん、遊ぶ相手は選んだ方がいいぜ?

特に、男は...な」


それから俺は、鋏で娼婦の首をはねた。

あれは、忘れもしない→



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手ふぇち - 待っっっって・・・めっちゃ好き!!!ヤンデレサイコパス最高!!!!!! (2021年9月19日 20時) (レス) id: e31fa55851 (このIDを非表示/違反報告)
ましろ - ルヴァンネさん» ルヴァンネさん自身も忙しいですものね。無理せず、これからも続けてくださると私的には幸せです。返信どうもありがとうございました! (2018年10月27日 20時) (レス) id: 6d01fe97ff (このIDを非表示/違反報告)
ルヴァンネ(プロフ) - ましろさん» いいえ。人形師自体はまだ続きます。あと2回3回くらいで完結になるかと思いますが、現在は未定です。 (2018年10月25日 12時) (レス) id: d6627a81ed (このIDを非表示/違反報告)
ましろ - こんにちは。人形師に魅了され、以前から他作品も楽しく読まさせていただいている者です。質問なのですが、人形師シリーズが完結になっているのは、もう続編は作らないということでしょうか?人形師シリーズが好きすぎる故、気になります。 (2018年10月23日 20時) (レス) id: 6d01fe97ff (このIDを非表示/違反報告)
通草 - 人形師筆頭の男子のギャグ…  見たい (2018年8月19日 21時) (レス) id: 499fedeecd (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ルヴァ子 | 作成日時:2018年8月9日 12時

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