真名 ページ8
｢A...フフッ良い名前だ...｣
それがお前の真名。
あの魔女が俺より先に知っていたことは何とも腹が立つが真名が手に入っただけでよしとしよう。
『真名』
それは簡単に名乗ってはいけない物である。
古来より、悪魔は自分の真名を名乗ることを避けていた。
その理由は召喚者や契約者に自身を操らせない為である。
他にも東方の和の国では神に真名を知られると神隠しされるだとか、言質で呪われるだとか言われている。
それくらい『真名』とは恐ろしく力を持った重要な物なのだ。
名前には親が無意識につけた守り効果がある。
真名...つまり名前は親から一番最初に貰う愛。故にそれが当人を守る御守りになるのだ。
しかし知られれば話は別だ。
力持つものがそれを知れば、知られた者は操り人形同然となる。
魔女にはそれが出来るんだろうが、人形師にその力はない。
彼が名前を知りたかったのは単に恋い焦がれ追い求める相手が何時までたっても『旅人さん』では嫌だったからである。
どうせなら、名前を口ずさみたい。
俺の声で、俺の口から、名前を呼びたい。
それに名前を呼ぶなんて親しげな感じがする。
『エルドラス起きなさい。
お寝坊さんね。朝ごはん出来たわよ』
不意に自分の名を呼ぶ母の声が聞こえた。
あれ以来、か...
そうだ。あれ以来なんだ...
親しげに名前を呼びあったのは...
あの時から地獄が始まったんだ...
あの時から俺は...独りなんだ...
人形師の瞳が曇る。
数々の記憶が流れていく。
あの時から名前は呼ばれなくなった。
Aが人形になったなら。
その時に俺の名前を呼んでもらおう。
『エルドラス』と。
かつて、父が、母が、友人が、親しげに呼んでくれた様に＿＿＿＿＿＿＿
｢...っ｣
目尻が熱くなる。前が、滲んで見えない。
あぁ...こんなときに。
泣きそうになるなんてな。
そんな場合じゃないだろ...
Aを見失っちまう。
でも、俺の名前。呼ばれたいな...
Aに...
寂しさが込み上げる。
もう何年孤独だったんだろうか。
それもAを捕まえれば終わる。
人形師はAを追いかけ続ける。
Aが、宗教都市を出たのが見えた。
あの人が走る先にあるのは樹海だったはずだ。
人形師は見失わないように後を追う。
Aが欲しい。何より欲しい。
｢独りはもう...いやだ...｣
そう呟いて人形師は樹海に入っていった。
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璃藍 - 人形師、、、イケメンやん えっ? (2021年7月15日 18時) (
レス) id: 1a37f2dad8 (このIDを非表示/違反報告)
壱 - 人形師さん好きすぎる… うちにおいで!愛してあげるから(( (2020年1月6日 11時) (レス) id: 09ab6582bb (このIDを非表示/違反報告)
(´・ω・｀) - めちゃめちゃ面白かったです！読み応えありました！フロートチャート楽しみにしていますね♪( *´艸｀)ウフフ (2018年7月29日 17時) (レス) id: 8c2421ccaa (このIDを非表示/違反報告)
メリア - ゆうえんちの小説も書いてほしいです！ (2018年7月23日 7時) (レス) id: 3bc89f1424 (このIDを非表示/違反報告)
レイア(プロフ) - ちょちょちょォォォォォ!!!? 真名!? 人形師サイコパス!!!!! でもそこがいい! イケメン!!!!!(最早狂気(?)が移った人←） (2018年7月16日 21時) (レス) id: 308d0f6bf9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ルヴァ子 | 作成日時：2018年6月20日 22時
