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紫色の瞳 ページ7

「遅いな...」

Aの隣の中年商人がそうぼやいた。

予定時刻から30分も過ぎていた。

なのに船が来ない。

天気は曇り。
しかし、運転の妨げにはならないはずだ。

座礁した?まさか。
だって慣れている航路を通るのだから。

その時、船着場の組員が血相をかえて、何処かに連絡しているのが見えた。

声もだいぶ大きい。
近くにいるせいか、こちらにまで聞こえてくる。

「海竜が現れた!?冗談だろ!?
船はどうなんだ?壊滅...!?」

それを聞いた周りがざわめき始めた。

嘘だ。何で、よりにもよって...今日...

Aの手から切符が落ちた。

しかし、そんなもの拾う余裕もなく呆然としていた。

「分かった救助隊を要請する。
多分その場所なら10分もかからないはずだ。

...しかし、一体何故海竜が...」

しかもそれが今日に限って。

その時、呆然と立ち尽くすAの肩を誰かが叩いた。

振り向くと黒いローブを纏った人がAの落とした切符を差し出していた。

顔は、フードを被っていてよく見えない。

Aは惑いながらも礼を言って切符を受けとろうとした。






「もー落としちゃ駄目だぜ?旅人さん」





Aの切符を取ろうとした手が止まる。

Aは目だけを動かして、フードの下を見た。




紫色の瞳と目があった。

それは獲物を見つけた肉食獣の様に目を爛々と輝かせていた。




それを見るや否やAは切符を受け取らずに一目散に逃げ出した。

周りの客が何事かと驚きながらAを見ていく。

「いやぁすみませんね。あの人俺のなんですよ」

人形師は『俺の』という部分を強調して周りの客に言い放った。

驚く者、知らないふりをする者、興味ありげに笑う者。客の反応は様々だった。

しかし、彼はそんなことに構わずにAを追いかけて行った。

「A...
相変わらず焦らしてくれるなぁ...

可愛いやつめ...」

舌舐めずりをしながら人形師はそう呟いた。

真名→←後悔



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璃藍 - 人形師、、、イケメンやん えっ? (2021年7月15日 18時) (レス) id: 1a37f2dad8 (このIDを非表示/違反報告)
- 人形師さん好きすぎる… うちにおいで!愛してあげるから(( (2020年1月6日 11時) (レス) id: 09ab6582bb (このIDを非表示/違反報告)
(´・ω・`) - めちゃめちゃ面白かったです!読み応えありました!フロートチャート楽しみにしていますね♪( *´艸`)ウフフ (2018年7月29日 17時) (レス) id: 8c2421ccaa (このIDを非表示/違反報告)
メリア - ゆうえんちの小説も書いてほしいです! (2018年7月23日 7時) (レス) id: 3bc89f1424 (このIDを非表示/違反報告)
レイア(プロフ) - ちょちょちょォォォォォ!!!? 真名!? 人形師サイコパス!!!!! でもそこがいい! イケメン!!!!!(最早狂気(?)が移った人←) (2018年7月16日 21時) (レス) id: 308d0f6bf9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ルヴァ子 | 作成日時:2018年6月20日 22時

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