人形師【Can you love me?】

感謝の気持ち ページ12

｢手紙？｣

｢そう。君に対して感謝の気持ちをいっぱいつめこんだんだ｣

｢感謝･･････ねぇ？ 何に対して？｣

｢それは読んでくれると嬉しいな。口からの言葉じゃ纏められないから、紙に綴ったんだ｣

僕が手渡した手紙を、訝しげに見ながら、彼は始めてその顔に不満の色を出した。

｢･･････『変わり者』が来たと思ったら、手紙を貰うとはねぇ｣

彼は手紙をズボンのポケットに押し込むと、カウンター後ろの扉に手をかけた。

｢あんたとは、気が合いそうだ｣

｢そりゃ、似たような理由で恋してるんだ。気持ちなんて痛いほど分かるよ｣

｢そうだな。呪術使いどうし、仲良くなれそうだな｣

｢ふふ、僕たちお友だち？｣

｢そうだなぁ、殺しても意味無さそうだし、互いに理解があるから、お友だちだ｣

おぉ、こわいこわい。知ってるよ。僕。
君のその影に、大きな鋏が眠ってること。

いざってときは、僕の首をちょんぎって、僕をお人形にするんでしょ？

殺されちゃうのかなぁ？
死なないんだけどさ。痛いのはやだなぁ。痛みは愛する神さまからだけ貰いたい。

次に出てくる言葉は、きっと罵倒か毒だ。
そう覚悟した僕の予想は、裏切られた。


｢特別に見せてやるよ。新しい俺の傑作｣


見たい？
まるで、子供ががらくたの宝物を見つけた時みたいな口調で、そう聞いた。

ここに並ぶ人形を見れば、彼の腕が優れているは嫌でも分かる。

僕は、もちろん頷いた。

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