人形師 ページ11
古びた商品棚に、美しい人形が並べられていた。なかには、ガラス棚に保管されている子もいた。
それらは、静かに目を閉じて、ただ眠っている。
血など通っていないのに。眠っているように見えるのだ。それこそ生きているかのように。
しばらく、その人形たちを見ていた。
少女、少年、人外・・・・・・服もドレスだったり、冒険者が着るような革鎧だったり、様々だ。
「気に入ってもらえたかい?」
真後ろから、そんな嬉しそうな男の声が聞こえた。振り向けば、これまた美しい何か。
人間じゃない。かといって、人外でもない。
人を忘れた『化け物』だ。
銀髪の美しい化け物が、僕の目の前に立っていた。
紫色の光の無い目を細めて、彼は僕を歓迎した。
言わずがな、彼こそ人形師だ。
「君の、お気に召す子はいたのかい?」
「ふふふお生憎さま、人形よりも生きている生き物を愛でるタイプでね、僕は」
「ふぅん? そりゃ残念だ。だが、大切に可愛がり続ければ、人形にも魂が宿るらしいぜ?」
「あぁ、知ってるよ。付喪神ってやつでしょ?」
「そうだ。・・・・・・まっ、時に愛を仇で帰す恩知らずもいるんで、そういうときは壊してやるしかないな」
愛も分からないなんて、可哀相。だもんな?
人形師は、嘲笑う。
きっとかつて、彼を捨てたであろう全ての者たちに対して。
僕もつられて嗤った。全くそう思う。
どうして、愛することを、愛されることを拒むだろう。永遠の疑問だ。
「それで? お客さんは何をしに来たんだ? 人形買うんじゃないんだろ?」
「そうだねぇ。僕はね、あなたに手紙を渡しに来たんだ」
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ゑごま - こんな素晴らしい作品を作ってくださり、本当にありがとうございます!!ヤンデレって良いっすね… (2021年7月17日 22時) (レス) id: 4d2c5a9f36 (このIDを非表示/違反報告)
ルヴァ子(プロフ) - ゑごまさん» こちらこそお読みいただきありがとうございました!他の作品も楽しんでいただけると幸いです。 (2021年7月16日 5時) (レス) id: feb2492136 (このIDを非表示/違反報告)
ゑごま - 全部読みきってしまった…!フロチャも全エンド回収してしまった!そして今はショタだけでなくヤンデレにも目覚めた!どうしよう、作者さん神すぎる。感謝しかないんだが。さあ、もう一周してから他の作品も見に行こう (2021年7月15日 23時) (レス) id: 4d2c5a9f36 (このIDを非表示/違反報告)
ルヴァ子(プロフ) - ピーナッツさん» こちらこそお読みいただきありがとうございました!神作品と言ってくださりありがとうございます! (2021年7月15日 21時) (レス) id: feb2492136 (このIDを非表示/違反報告)
ピーナッツ - 良すぎて...やばいです!このような神小説を作ってくださり本当感謝です!! (2021年7月15日 19時) (レス) id: 362c37f779 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ルヴァ子 | 作成日時:2019年9月12日 10時