過去を抉る ページ2
町から出て、僕たちは旧市街の細い路地へとやって来た。
「・・・・・・何の用だ? こんな所に連れ出して」
「お互いのためですよ。そんなに睨まないでください。僕は、今から貴方の傷口抉るんですから」
「・・・・・・は?」
すると彼は、腕の包帯に目を移した。いや、肉体に対してそんなことするわけがない。
これはただの例えだ。
「純粋だねぇ」
「・・・・・・はぁぁ?」
聞こえないように呟いたはずが、彼の可愛らしい狼耳にはしっかりと聞こえていたようだ。
彼は一度、舌打ちをすると、たいそうイラついた様に、僕を再び睨み付けた。
「・・・・・・はぁ、さっさと用件を話せ。まだ仕事が残っているんだ」
「相方さんは? いないんですか?」
「・・・・・・アイツは」
「まぁ、それも含めて話していただくんですけどね」
「傷口を抉る云々は例えじゃなかったのか?」
「肉体にはしませんよ、精神は別で」
彼の尻尾が強ばったように、下にさがった。これは怯えている証拠だ。
「【人形師】──貴方、ご存じですよね?」
僕がそう問いかければ、彼は唇を噛み締めて、拳を強く握った。
何かに、耐えるような。そんな姿。
「なんで、そんなこと」
「手紙を渡したいんです」
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ゑごま - こんな素晴らしい作品を作ってくださり、本当にありがとうございます!!ヤンデレって良いっすね… (2021年7月17日 22時) (レス) id: 4d2c5a9f36 (このIDを非表示/違反報告)
ルヴァ子(プロフ) - ゑごまさん» こちらこそお読みいただきありがとうございました!他の作品も楽しんでいただけると幸いです。 (2021年7月16日 5時) (レス) id: feb2492136 (このIDを非表示/違反報告)
ゑごま - 全部読みきってしまった…!フロチャも全エンド回収してしまった!そして今はショタだけでなくヤンデレにも目覚めた!どうしよう、作者さん神すぎる。感謝しかないんだが。さあ、もう一周してから他の作品も見に行こう (2021年7月15日 23時) (レス) id: 4d2c5a9f36 (このIDを非表示/違反報告)
ルヴァ子(プロフ) - ピーナッツさん» こちらこそお読みいただきありがとうございました!神作品と言ってくださりありがとうございます! (2021年7月15日 21時) (レス) id: feb2492136 (このIDを非表示/違反報告)
ピーナッツ - 良すぎて...やばいです!このような神小説を作ってくださり本当感謝です!! (2021年7月15日 19時) (レス) id: 362c37f779 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ルヴァ子 | 作成日時:2019年9月12日 10時