力になれたら ページ6
炭治郎side
任務終わりに茶々に頼まれ事をされ、大人しくAさんを待つ。
すると、奥から急いで走ってくるAさんの姿があった。
そして漂ってくる、悲しさと辛そうな匂い。
走る足も、少しだけだがふらついている。
そして俺達の姿を見たら、立ち止まってしまった。
そこに駆けていけば、相変わらずお面を付けていて表情は読み取れないけど、すごく疲れている感じがした。
大丈夫だと言うAさんからは、申し訳ないとか、そういう匂いがする。
そんなこと、気にしなくていいのに。
それに、茶々のあの言葉。
Aさんが隊内でよく思われていないことは、出会った当時から知っていた。
でも俺は、Aさんがそんな人じゃないとすぐにわかった。
どこまでも優しい匂いがして、嘘がない人。
鬼の禰豆子をすんなりと受け入れてくれた。
実際に話してみれば、思っていたよりも遥かに優しくて、噂として流れているAさんとはかけ離れている。
さなさん、という人のことはわからないけど、きっと大切な人だったんだろう。
Aさんのこと、もっと分かってあげたい。
そうしたら、俺も力になれるだろうか。
それから少し重くなってしまった空気を、声を明るくすることで塗り替えたAさん。
Aさんが心配だったこともあり、申し訳なかったが俺達はご飯をご馳走になることにした。
『ところで、三人とも怪我は?元々蝶屋敷に行く予定だったんでしょう?』
「いえ、軽い怪我だったので藤の家で休むだけで大丈夫でした!」
『そっかそっか。とにかく、無事で何よりだよ。お疲れ様!』
そう言って一度立ち止まり、俺達の頭を一人ずつ撫でてくれた。
これにはさっきから黙りだった善逸も興奮気味であったが、すぐに心配そうな顔をしてAさんの手を握った。
「Aさん!何か我慢してませんか?さっきから足がおぼつかないみたいで、すごく無理してるような音がしてますし……いや、俺の気のせいかもしれないんですけどね!?」
あせあせと手をばたつかせる善逸に、俺と伊之助も頷く。
「親分に隠し事なんか通用しねぇぜ!!言え!」
伊之助が掴みかからんばかりの勢いでそう言えば、少し困ったような匂いをさせていると、茶々が口を開いた。
「実ハズット目眩ガシテテ、倒レソウナノ!ダカラサッサト歩イテー!」
『あ、こら、茶々!』
茶々を叱ろうと声を発した直後、Aさんの体がゆっくりと俺達の方に傾いてきた。
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アマリス(プロフ) - この夢主、魔法少女になったら真っ先に魔女化するな。で、人間体は死んで、魂ごと消えるあれですけど、まあそうなればみんな幸せなんでしょうね。夢主は魂ごと消滅するんですから。本当にそうなったら、どうなるんでしょうね。 (2022年5月22日 20時) (レス) id: 7d0074fb6d (このIDを非表示/違反報告)
ふじか(プロフ) - 更新楽しみに待っています! (2021年9月29日 10時) (レス) id: ae671ca5ff (このIDを非表示/違反報告)
*つむり* - すごく面白いです。小説の書き方とかも、すごく参考になります!続きが気になります……といったらプレッシャーになるかもしれませんが、応援してますので、気を詰めずに自分のペースで頑張ってください! (2021年5月3日 10時) (レス) id: a3e5e92948 (このIDを非表示/違反報告)
リタ - とても面白かったです! (2021年2月25日 19時) (レス) id: 800a931bab (このIDを非表示/違反報告)
ほたる - 下に同じくもっと伸びるべきだと思います!ゆっくりで良いので更新頑張ってください!体調にも気をつけてください! (2021年1月7日 18時) (レス) id: bff8d73ccb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:藍夜 | 作成日時:2019年11月14日 12時