分からない ページ23
煉獄side
華月から、聞いた事のないような冷たい声で発せられた言葉に、俺はまた驚かされた。
相変わらず面をつけていて何を考えているか分からないが、雰囲気がいつもと違うのは明らかだ。
俺が一言も発せないでいると、華月は静かに戸を閉めてしまった。
もう一度呼びかけても、きっと先程と似たような事を言われて終わりだろう。
ここは、大人しく帰るしかないな。
帰路に着きながら、先日の華月の様子を思い出していた。
怒りから力を強めた俺に、淡々とした口調で痛いと告げ、更には先程と同じように、冷たく刺さるような言葉を口にした。
普段の華月からは感じられない、静かな怒りがそこにはあった。
俺が驚いて力を緩めれば、それを払い除けて少女の元へ駆け寄り、目線に合わせて屈んだ。
少女は華月の前で強ばらせていた顔を緩め、小さく微笑んでいた。
その後も少女やその母親は、救けた張本人である桜木ではなく、華月に対して礼を述べていた。
華月が夜明け前に去った後、俺は一度その家に事情を聞こうと思ったのだが、母親ではなくあろう事か少女に追い出されたのだ。
｢救けてくれたのはお姉ちゃんなのに！｣
少女は大きな瞳から涙をこぼして、そう言った。
"その子の話だけ聞いて、私の話は聞こうともしない。"
華月がこう言っていた理由が、その時少しだけ理解できた気がした。
あまりにも、頭ごなしに華月を否定しすぎていたのかもしれない。
華月の悪い噂というものは、隊の中では有名な話だ。
だが今考えてみれば、誰も華月のそのような所を見た者はいない。それだけじゃなく、華月本人を見かけることすら、実に少ない。
最初は、自身の姉の継子である桜木が気に入らず、桜木にだけそのような嫌がらせをするのだと思っていた。
だが今回の件もあり、分からなくなってしまった。
確かに俺が見た光景は、華月が一方的に桜木を攻撃しているかのように見えた。
だが、実際は違うのかもしれない。
だから話を聞いてみようとしたのだが、やはり虫が良すぎたな。
今まで、あれだけ酷い態度をとってきたのだ。
それに、まともに話をしようなどと思ったこともない。
桜木の言い分を信じないわけではないが、俺自身が分からぬ以上、本人に聞く他ないだろう。
だが、どうしたものか。
俺はもう、彼女と話をすることは出来ないだろう。彼女は完璧に、俺との間に壁を作ってしまった。
前雲柱が生きていたなら、こうはならなかったのだろうか。
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アマリス(プロフ) - この夢主、魔法少女になったら真っ先に魔女化するな。で、人間体は死んで、魂ごと消えるあれですけど、まあそうなればみんな幸せなんでしょうね。夢主は魂ごと消滅するんですから。本当にそうなったら、どうなるんでしょうね。 (2022年5月22日 20時) (
レス) id: 7d0074fb6d (このIDを非表示/違反報告)
ふじか(プロフ) - 更新楽しみに待っています！ (2021年9月29日 10時) (レス) id: ae671ca5ff (このIDを非表示/違反報告)
*つむり* - すごく面白いです。小説の書き方とかも、すごく参考になります！続きが気になります……といったらプレッシャーになるかもしれませんが、応援してますので、気を詰めずに自分のペースで頑張ってください！ (2021年5月3日 10時) (レス) id: a3e5e92948 (このIDを非表示/違反報告)
リタ - とても面白かったです！ (2021年2月25日 19時) (レス) id: 800a931bab (このIDを非表示/違反報告)
ほたる - 下に同じくもっと伸びるべきだと思います！ゆっくりで良いので更新頑張ってください！体調にも気をつけてください！ (2021年1月7日 18時) (レス) id: bff8d73ccb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：藍夜 | 作成日時：2019年11月14日 12時
