憎まれっ子世に憚る【鬼滅の刃】

どうでもいい ページ21

私がそう問い詰めれば、舞衣は瞳に涙をためながらも、私をきつく睨みつけた。


｢うるさい、うるさい！！全てお前が悪いんだ！お前が師範を殺したから…あんなにも愛されていたお前が！！！師範を殺したから！！

そんなお前を超えるためにも、師範のためにも、手柄を立てなきゃいけないのよ！！｣

『それが本当に姉様のためになると思っているなら、お門違いにもほどがある！！姉様はそんなの望んでない！


何より、姉様は私だけを愛していたわけじゃないわ。あなたのことも＿＿』


そこまで言ったところで、誰かに胸ぐらを掴む手を力強く掴まれた。

ハッとして横を見れば、そこには煉獄様の姿があった。


｢何をしている、華月。何があったか、説明してもらおうか！｣

『…煉獄様。』

｢煉獄さん！Aさんが酷いんです！！｣


そう言って、涙ながらに訴える舞衣を見て、目眩を覚えた。

ああ。この子を信じて、あの子を預けた私が馬鹿みたいじゃない。


根はいい子だから、信用していたのに。


舞衣は泣きながら、先程の私と舞衣の立場を逆にして説明し、逆上した私が頬を叩いたのだと言い始めた。


偽られた事の顛末を聞いた煉獄様は、もう胸ぐらから離した私の手を、折れてしまうのではないかという程力強く握る。


『煉獄様。痛いです。』

｢華月。お前は鬼殺隊として、恥ずべき事をしたのだ。それを分かっているのか？｣

『分かるも何も、私はそのような事はしておりませんので。

分かっていないのは、煉獄様の方ではございませんか。その子の話を聞いただけで、私の話は聞こうともしない。

それだから、偽りのものにしか目が向けられないのですよ。


それよりも、手を離していただけませんか。あの子の元に行かなければ。』


もう、どうでもいい。


少しでも好かれたいだなんて思っていた、私が馬鹿だったのよ。


変わらず守りはするけど、もう極力話さないようにしよう。そして、会わないようにしよう。

顔も見たくないし、声も聞きたくない。


私の雰囲気が変わったのを悟ったのか、私がいつも以上にきついことを言ったことに驚いたのか、煉獄様の手の力が緩み、それを振り払う。

そして、少女の元へと走りよった。


『大丈夫？怪我は？』

｢う、ううん。お母さんも私も、怪我してないよ。…お姉ちゃんは？｣

『私は全然平気だよ。あなた達が無事で良かった。』


そう言って微笑めば、その子もつられて笑ってくれた。


良かった。しっかり守ることができて。

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