下弦の鬼 ページ18
舞衣は皆の中で、とても優しく気遣いのできる良い子だと思われている。
実際、昔はそうだった。
だけど、今はそんな姿とはかけ離れてしまっている。今だって、おそらく狙って言ったに違いなかった。
ここで信じると言っておけば、また自分の株は上がるのだから。
「相変わらずお人好しすぎるわ!舞衣ちゃん!」
「甘露寺の言う通りだ!何故こうも華月の肩を持つのか!」
「だって…一応、師範の妹さんですし、それに昔はとても良くしてもらっていたので……。」
「あいつの妹だからなんだってんだァ。こんな奴、華月の妹だとも思いたくねえよ。さっさと死んじまえってんだ。」
込み上げてきた涙を抑え、冷静になるために少し大きく息を吸い込む。
お面があってよかった。顔を見られずにすむもの。
私は話を切り替えるために、一つ手を叩く。
すると、皆は少し驚いたようにこちらを向いた。
『お話はここまでにして、見回りに行きましょう。今宵の犠牲者が出ぬように。』
それから見回る場所を決め、各々その方角へと走り出す。
無論、私は単独で行動をしていた。
誰も私とは行動をしたがらないし、もとより一人余るのだから仕方ない。
それに、一人の方が気が楽だ。
そう思いながら屋根の上を転々としていると、どこからか悲鳴が聞こえ、その方角へと走る。
すると、ちょうど家から人影が見えて、それを呼び止める。
「おやおや、鬼狩りではないか。それにしても、柱とは久しいのう。最後に見たのはいつ頃だったか…。」
『…質問よ。悲鳴が聞こえたけれど、その人はどうしたの。』
「そうじゃなあ。まだ死んではおらぬ。だが、貴様を殺したら、貴様もこやつと共に食らうてやろう。」
そう言った瞬間に、こちらに向かって攻撃をしてきた。
……下弦の鬼か。これは少し苦戦しそうだけど……
『鬼殺隊の柱。なめないでいただけるかしら。』
「おお、怖い怖い。」
こちらも負けじと攻撃をするが、動きが素早くてなかなか斬れない。
それに血鬼術もハッキリしない今、無闇矢鱈に突っ込んでいくのは無謀であろう。
まあ、だからと言って攻撃をやめるつもりも、このままやられているつもりもないけれど。
一度体勢を低くして、そのまま鬼の背後まで回ると、頸に日輪刀を押し当てた。
が、日輪刀はまるで水でも斬ったかのように、スルリとその頸を抜ける。
「くふふ、これが余の血鬼術よ。貴様に余は殺せまい。」
これは……だいぶ面倒なことになりそうね…。
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アマリス(プロフ) - この夢主、魔法少女になったら真っ先に魔女化するな。で、人間体は死んで、魂ごと消えるあれですけど、まあそうなればみんな幸せなんでしょうね。夢主は魂ごと消滅するんですから。本当にそうなったら、どうなるんでしょうね。 (2022年5月22日 20時) (レス) id: 7d0074fb6d (このIDを非表示/違反報告)
ふじか(プロフ) - 更新楽しみに待っています! (2021年9月29日 10時) (レス) id: ae671ca5ff (このIDを非表示/違反報告)
*つむり* - すごく面白いです。小説の書き方とかも、すごく参考になります!続きが気になります……といったらプレッシャーになるかもしれませんが、応援してますので、気を詰めずに自分のペースで頑張ってください! (2021年5月3日 10時) (レス) id: a3e5e92948 (このIDを非表示/違反報告)
リタ - とても面白かったです! (2021年2月25日 19時) (レス) id: 800a931bab (このIDを非表示/違反報告)
ほたる - 下に同じくもっと伸びるべきだと思います!ゆっくりで良いので更新頑張ってください!体調にも気をつけてください! (2021年1月7日 18時) (レス) id: bff8d73ccb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:藍夜 | 作成日時:2019年11月14日 12時