頼りなくて弱いけど ページ15
善逸side
『舞衣が嘘をついていたと分かれば、彼女の居場所はなくなってしまうかもしれない。それでは駄目なのよ。
私はね、たとえ嫌われようが、何をされようが、姉様が大切にしていた人達のことは、何があろうと守ると決めてるの。
私が鬼殺隊にいるのは、人を守るため。
それさえ全うできるなら、自分のことはどうなったっていいの。』
Aさんのその言葉に、｢なんで｣と小さく声が漏れた。
そんなに悲しい音をさせて、辛そうな顔をしているのに、どうして自ら傷つく方を選ぶのか。
分かる、分かるんだよ？頭では。
Aさんは優しいから。優しすぎるから。
だから他人が傷つくより、自分が傷つく方を選ぶんだ。
でも、でもさ、Aさんのお姉さんは、Aさんのことも大切だったんじゃないの？きっとそうだよ。普通の姉妹ならそうだろ？
俺と兄貴じゃないんだからさ。
炭治郎もそうだけど、優しすぎるんだよ。自分が傷ついて、辛い思いしてちゃ、他の兄弟も悲しいじゃんか。
もうちょっと、自分を大切にしてあげてよ。
頭の中で色々な想いやら言葉が駆け巡る中、Aさんはまた辛そうな顔で笑顔を作った。
『それにね？やっぱり、舞衣のことが大切なのよ。長いこと一緒にいたから、私からしたら家族のような存在で。
確かに、ありもしない噂を流されるのは嫌だけれど、それだけであの子の居場所を奪っていい理由にはならない。
あの子も、他の柱の方々も、本当はとっても優しくて、良い人なのよ。』
どうしてそんなことを言えるのか。
俺は理解できないよ。
辛いなら辛いでいいじゃん。逃げてもいいじゃん。なんでこうも頑固なの？鬼殺隊の人って。
Aさんの嘘偽りのないその言葉と音に、俺は気がつけば泣いていた。
柱の人達が良い人だっていうのは、確かにそうだと思うよ？怖いけど。
だけどさ、ここまで嫌なことされてそう言えるって、感覚が麻痺しているんじゃないかとも思う。
優しすぎるし、姉思いすぎるよ。
辛くて苦しいなら、逃げてもいいのにさ。
俺には仲の良い兄弟とか、家族すらいないから普通が分からないけど、それじゃAさんがいつか壊れてしまう。
｢Aさん…！｣
やっと絞り出した俺の声は、酷く情けなくて。
でも、どうしてもこれだけは伝えたかった。
｢俺は、俺達は、Aさんの味方ですから！絶っ対忘れないでくださいね！Aさんのことは、俺達が守ります！｣
俺、弱いけどさ。頑張るから。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 372人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
アマリス(プロフ) - この夢主、魔法少女になったら真っ先に魔女化するな。で、人間体は死んで、魂ごと消えるあれですけど、まあそうなればみんな幸せなんでしょうね。夢主は魂ごと消滅するんですから。本当にそうなったら、どうなるんでしょうね。 (2022年5月22日 20時) (
レス) id: 7d0074fb6d (このIDを非表示/違反報告)
ふじか(プロフ) - 更新楽しみに待っています！ (2021年9月29日 10時) (レス) id: ae671ca5ff (このIDを非表示/違反報告)
*つむり* - すごく面白いです。小説の書き方とかも、すごく参考になります！続きが気になります……といったらプレッシャーになるかもしれませんが、応援してますので、気を詰めずに自分のペースで頑張ってください！ (2021年5月3日 10時) (レス) id: a3e5e92948 (このIDを非表示/違反報告)
リタ - とても面白かったです！ (2021年2月25日 19時) (レス) id: 800a931bab (このIDを非表示/違反報告)
ほたる - 下に同じくもっと伸びるべきだと思います！ゆっくりで良いので更新頑張ってください！体調にも気をつけてください！ (2021年1月7日 18時) (レス) id: bff8d73ccb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：藍夜 | 作成日時：2019年11月14日 12時
