禰豆子と同じ ページ11
炭治郎side
禰豆子がお面を取ったことにより顕になったAさんの顔は、とても綺麗なのに目元の傷が痛々しい。
それでもやっぱり綺麗なのには変わりなくて、こんな素顔を隠しておくのは、何故か勿体ない気さえしてしまった。
ある程度涙が落ち着いてくると、Aさんは禰豆子に礼を伝え、静かに俺達に向き直った。
『…顔も見られちゃったことだし、私のことについて、君達に話そうと思う。』
燃えるように赤く、それでいて優しい瞳が俺達を捉える。
聞いてくれるかな?と困ったように笑うAさんに、俺達は勿論だと頷き姿勢を正した。
それを見たAさんは、一度目を閉じてから、悲しそうな匂いをさせて話し始めた。
『……私にはね、義理の姉がいたの。幼い頃鬼に襲われていた私を救ってくれて、家族が殺され身寄りのない私を、姉様は家族にしてくれた。
その姉様の名前は華月さな。元、雲柱なの。
姉様は血の繋がっていない私を、心の底から愛してくれていた。私も勿論、姉様を愛していた。
私は姉様への憧れと、家族を殺した鬼に対する憎悪から、鬼殺隊に入ることを決めた。
それが鬼殺隊としての私の始まり。
鬼殺隊の中に身を投じていればわかるけれど、辛いことや悲しいことばかり起こったわ。
でもどんなに辛い中でも、確かに私は幸せだったのよ。姉様の継子である現雲柱の舞衣や、姉様と暮らす日々が。
でもね____』
そこまで言った時、Aさんからより一層濃い悲しみの匂いがした。
今にもまた泣き出してしまいそうなAさんの顔。
それだけで、その先の言葉がどれだけAさんにとって辛いものなのか、容易に分かってしまう。
『2年前に、姉様は鬼になってしまった。』
やっとの事で振り絞ったかのような声で、Aさんはそう告げた。
俺は思わず、Aさんの近くに座る禰豆子を見た。
Aさんのお姉さんも、鬼に…?
じゃあ、もしかしてAさんは…お姉さんのことを……
『私が、姉様の頸を斬ったの。
私が姉様を、殺したの。殺してしまったの。』
予想していた言葉に、俺は気がつけば泣いていた。
Aさんの瞳からも、また大粒の涙がこぼれ落ちている。
悲しみや後悔。
色んな匂いが、俺の鼻をつく。
俺は、Aさんと初めて会った時に言われた言葉を思い出した。
『竈門くん。妹さんと二人で、ちゃんと幸せになってくださいね。』
俺の瞳からは、ますます涙が溢れるのだった。
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アマリス(プロフ) - この夢主、魔法少女になったら真っ先に魔女化するな。で、人間体は死んで、魂ごと消えるあれですけど、まあそうなればみんな幸せなんでしょうね。夢主は魂ごと消滅するんですから。本当にそうなったら、どうなるんでしょうね。 (2022年5月22日 20時) (レス) id: 7d0074fb6d (このIDを非表示/違反報告)
ふじか(プロフ) - 更新楽しみに待っています! (2021年9月29日 10時) (レス) id: ae671ca5ff (このIDを非表示/違反報告)
*つむり* - すごく面白いです。小説の書き方とかも、すごく参考になります!続きが気になります……といったらプレッシャーになるかもしれませんが、応援してますので、気を詰めずに自分のペースで頑張ってください! (2021年5月3日 10時) (レス) id: a3e5e92948 (このIDを非表示/違反報告)
リタ - とても面白かったです! (2021年2月25日 19時) (レス) id: 800a931bab (このIDを非表示/違反報告)
ほたる - 下に同じくもっと伸びるべきだと思います!ゆっくりで良いので更新頑張ってください!体調にも気をつけてください! (2021年1月7日 18時) (レス) id: bff8d73ccb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:藍夜 | 作成日時:2019年11月14日 12時