第卅参話 ページ37
死んでしまうと喚き暴れる善逸を、炭治郎と共に大丈夫だと言いながら宥めていると、あの兄妹が中に入って来てしまっていた。
「駄目だ!入ってきたら駄目だ!!」
「お、お兄ちゃん。あの箱カリカリ音がして…」
「だっ…!!だからって置いてこられたら切ないぞ!あれは俺の命より大切なものなのに…。」
どうやら禰豆子ちゃんが動いた音が怖くて、置いてきてしまったようだ。
そんな二人の頭を優しく撫でていると、家が軋む音が聞こえてくる。鬼が徘徊しているのだろう。
慎重に動かなければ。そう思った瞬間に、悲鳴を上げた善逸のお尻があたり、私と炭治郎、妹ちゃんが別な部屋に入ってしまった。
それと同時に、ポンという鼓の音が聞こえ、部屋が変わってしまった。
ここにいる鬼の血鬼術の類だろうか。これは厄介なことになりそうね…。
「お兄ちゃんと離れ離れにしてごめんな。でも必ず守るから。」
『お兄さんのことも、善逸が絶対守るわ。大丈夫。お名前は?』
「てる子……。」
「そうか。いい名前をつけてもらっ…」
てる子ちゃんの名前を聞いた時、廊下の方から嫌な色が渦巻きはじめ、そちらを勢いよく見やる。
すると、そこから体に鼓のついた鬼が現れた。
屋敷中に漂っていた色と、同じ色合い。
この鬼が、この屋敷の主か。
それにこの色…雰囲気……!!十二鬼月に匹敵するものだ!上弦ではないから、もしかしたら下弦の可能性がある。
尚更気は抜けない。てる子ちゃんもしっかり守らないと。
「てる子。叫ぶのは我慢だ。部屋は動くから廊下に出るな。退がって棚の後ろに隠れるんだ。A。てる子を頼めるか。」
『ええ、任せて。でも気をつけてね、炭治郎。あいつは、もしかしたら十二鬼月かもしれない。』
それだけを言い残して、私はてる子ちゃんを抱えて棚の後ろに身を隠した。
鬼が何やらブツブツと呟き、こちらには気づいていない様子。
不意打ちをすれば、より有利に___
「俺は鬼殺隊階級・癸!!竈門炭治郎だ!今からお前を斬る!」
馬鹿正直にそう言う炭治郎に、思わず力が抜ける。不意打ちをしようとか思わないのかな、炭治郎は…。
鬼に斬りかかる炭治郎を見てそんなことを考えていたら、また鬼が鼓を叩いた。
すると、いきなり部屋が傾き、咄嗟にてる子ちゃんを抱え、床を蹴って体勢を整えた。
気がつけば、畳が側面にある。
なるほど。これがこの鬼の血鬼術。
この屋敷全てが、鬼の縄張りなのね。
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masa - コスプレイヤーとして演じる程,隠がお気に入りです!闘える隠もいるはずと信じているので,この作品が大好きです!正に本編そのもの!東雲ちゃんも大好きです! (2021年1月7日 1時) (レス) id: 8a22c9168c (このIDを非表示/違反報告)
カナ - 無限列車編、楽しみです!煉獄さんンンンン!!!!!!!! (2021年1月6日 0時) (レス) id: 5eabcf99e7 (このIDを非表示/違反報告)
R_yomoya(プロフ) - めっちゃさいっこうです!無限列車編はどうなるのか…! 煉獄さん生存ifであることを祈っています…! (2021年1月5日 14時) (レス) id: 241a1cc2c3 (このIDを非表示/違反報告)
天深 - とても好きな作品でした(;_;) (2020年1月24日 16時) (レス) id: 456e47df85 (このIDを非表示/違反報告)
すンず - めっちゃ最高!!頑張って下さい!応援しています! (2019年10月25日 19時) (レス) id: 6823c0d55a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:藍夜 | 作成日時:2019年10月6日 13時