第卅壱話 ページ35
珠世様の元を去り、私達は次の指令の場所へと歩を進めていた。
すると、道のど真ん中で女の子に縋り付き、泣きわめく人を目にした。
……あの子、最終選別の時にいた子だ。
なんて思っていたら、こちらに雀が飛んできて、何やら喋っている。
とても可愛らしいその姿に頬緩めたのもつかの間、何か伝わったらしい炭治郎は、男の子に近づいていき、襟を掴んだ。
「何してるんだ!道の真ん中で!その子は嫌がっているだろう!!そして雀を困らせるな!!」
炭治郎が男の子と話している間に、女の子を立たせた。
『さぁ、もう家に帰ってください。どうかお気をつけて。』
「ありがとうございます。」
「おいーっ!!その子は俺と結婚するんだ!俺のこと好きなんだからな゛っ」
急におかしなことを言い出したその子を、女の子が叩き始めてしまった。
私と炭治郎は女の子を落ち着かせて、言いたいことを言い終えた女の子は、そのまま怒りつつ帰っていった。
……とりあえず、この子はとんでもなく勘違いが激しい子だということはわかった。
炭治郎が信じられないものを見る目で彼を見つめ、彼は彼で荒れている。
これには雀も音を上げるわけだ。
額に手を当てて、一つため息をついたところで、御影が御館様からの手紙を持って飛んできた。
何で今?とは思ったけれど、御館様からのものだと確認した瞬間に、私は文を開く。
……なるほど。次に藤の家について、怪我が治り次第御館様のところへ迎えばいいのね。
御影に礼を伝えたところで、どうやらやっと落ち着いたらしく、次は彼も一緒に歩き始めた。
『名乗ってなかったよね。私は東雲A。よろしくね。』
「うへへへ、俺は我妻善逸。よろしくね、Aちゃん!」
うーん。なるほど。善逸は女の子が好きなんだろうなあ。
色からして悪い人ではないだろうし、むしろ優しくて良い人だっていうのはわかるんだけど、こうもデレデレされてはこちらまで恥ずかしくなってしまう。
どうしたものかと考えを巡らす中、炭治郎の鎹鴉が三人そろって次の場所へ迎えと喋った。
「ギャーッ!カラスが喋ってる!」
……鎹鴉、見たことないの…?
それからひたすらに歩き続けていれば、明らかに禍々しい色をしている家に辿り着いた。
…雰囲気からして、炭治郎が今まで戦ってきた鬼の中で一番強いだろうか。
炭治郎は匂いを、善逸は音を察知したらしい。炭治郎のことは知っているけど、善逸も耳が人よりも良いのだろうか。
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masa - コスプレイヤーとして演じる程,隠がお気に入りです!闘える隠もいるはずと信じているので,この作品が大好きです!正に本編そのもの!東雲ちゃんも大好きです! (2021年1月7日 1時) (レス) id: 8a22c9168c (このIDを非表示/違反報告)
カナ - 無限列車編、楽しみです!煉獄さんンンンン!!!!!!!! (2021年1月6日 0時) (レス) id: 5eabcf99e7 (このIDを非表示/違反報告)
R_yomoya(プロフ) - めっちゃさいっこうです!無限列車編はどうなるのか…! 煉獄さん生存ifであることを祈っています…! (2021年1月5日 14時) (レス) id: 241a1cc2c3 (このIDを非表示/違反報告)
天深 - とても好きな作品でした(;_;) (2020年1月24日 16時) (レス) id: 456e47df85 (このIDを非表示/違反報告)
すンず - めっちゃ最高!!頑張って下さい!応援しています! (2019年10月25日 19時) (レス) id: 6823c0d55a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:藍夜 | 作成日時:2019年10月6日 13時