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第拾伍話 ページ19

あれからまた半年が経ち、鱗滝さんの元へ行く回数は減っていたが、炭治郎の顔つきが会う度に変わっていった。


これは、岩を斬る日が近いかな。


もしかしたら、今日にでも。


そう思いこっそりと炭治郎の後をつけ、木の上から錆兎とのやり取りを静かに見守った。


半年で髪も随分と伸び、顔つきも男らしさがある炭治郎に、錆兎は真剣を構える。


「半年でやっと男の顔になったな。」

「今日こそ勝つ。」


真正面からの勝負は単純。
より強く、より速い方が勝つ。


勝負は一瞬だった。


狐のお面を斬られた時、錆兎は笑っていた。
泣きそうな、嬉しそうな、そんな笑顔。

私が錆兎に勝った時も、同じような顔をしていたのを覚えている。


「……勝ってね、炭治郎。アイツ(・・・)にも。」


お面を斬ったはずの炭治郎の刀は岩を斬っている。

よくやったね、炭治郎。


そして___


『錆兎、真菰。ありがとう。』

「どういたしまして。」

「あとは最終選別だけだな。気を抜くなと言っておいてくれ。」

『うん。』


いつの間にか私の横にいた錆兎達に返事をし笑いかければ、また安心したように笑って姿を消した。

それから私は木から飛び降りると、炭治郎の方へ歩み寄った。


『炭治郎。おめでとう。よく頑張ったね。』

「A…。」

『これなら鱗滝さんも認めてくれるよ。あとね、錆兎が岩を斬れたからと油断するなだってさ。』


私がそう言って微笑んだ時、誰かの足音が聞こえてきた。

そこには鱗滝さんがいて、静かに斬れた岩を見つめると、炭治郎の方を向く。


「お前を最終選別に行かせるつもりはなかった。もう子供が死ぬのを、見たくなかった。お前にあの岩は斬れないと思っていたのに…。


よく頑張った。


炭治郎。お前は凄い子だ……。」


鱗滝さんに優しく頭を撫でられた炭治郎の瞳からは、綺麗な涙が零れた。


「"最終選別"。必ず生きて戻れ。儂も妹も、此処で待っている。」

『私は此処にはいないだろうけど、ちゃんと待ってるからね。』


それからしばらくして、落ち着いた頃に家へと戻り、ご飯の準備を始めた。

今日の晩ご飯はご馳走様だ。


それは、こんなことは言いたくないけど、炭治郎と食べる最後の食事かもしれないからだ。


でも炭治郎なら大丈夫。あの岩を斬ったのだから。


『炭治郎。髪、切ってあげようか?』

「いいのか?」

『うん!』


炭治郎がちゃんと、生きて帰りつきますように。


髪を切りながら、そう願いを込めた。

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masa - コスプレイヤーとして演じる程,隠がお気に入りです!闘える隠もいるはずと信じているので,この作品が大好きです!正に本編そのもの!東雲ちゃんも大好きです! (2021年1月7日 1時) (レス) id: 8a22c9168c (このIDを非表示/違反報告)
カナ - 無限列車編、楽しみです!煉獄さんンンンン!!!!!!!! (2021年1月6日 0時) (レス) id: 5eabcf99e7 (このIDを非表示/違反報告)
R_yomoya(プロフ) - めっちゃさいっこうです!無限列車編はどうなるのか…! 煉獄さん生存ifであることを祈っています…! (2021年1月5日 14時) (レス) id: 241a1cc2c3 (このIDを非表示/違反報告)
天深 - とても好きな作品でした(;_;) (2020年1月24日 16時) (レス) id: 456e47df85 (このIDを非表示/違反報告)
すンず - めっちゃ最高!!頑張って下さい!応援しています! (2019年10月25日 19時) (レス) id: 6823c0d55a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:藍夜 | 作成日時:2019年10月6日 13時

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