湿った季節 ページ37
時は流れ、梅雨の六月。
私が元の世界へ帰る期限__もとい、殺せんせーの暗殺期限まで、残り九ヶ月となった。
そして今、目の前でごく普通に授業をしている先生の頭は、異常なまでに大きくなっていた。
……いや、マジで何で???
あのタコどうなってんだよ。
「殺せんせー。33%ほど巨大化した頭部についてご説明を。」
「ああ。水分を吸ってふやけました。湿度が高いので。」
「「生米みてーだな!!」」
全員の声が揃う中、本当に先生の体はどうなっているんだと、不思議に思う自分がいる。
雨粒は避けてきたらしいが、どうも湿気ばかりはどうにもならないらしく、自分の頬を雑巾のように絞り、バケツに水を出していた。
雨粒を避けてきたという発言も気にかかるところだが、正直、この教室の雨漏りにも気が向いてしまう。
『ボロすぎやしねーか本当に…。』
「エアコンでベスト湿度の本校舎が羨ましーわ。」
相変わらずの差別に怒りを通り越して呆れながらも、私は自身を下敷きで扇ぐ。
皆はそうでもなさそうだが、私にとってはこの気温でも普通に暑い。
それに心做しか、江戸よりも暑い気がしてならない。これは本格的に夏になったらどうなってしまうのか。
そんなことをぼんやり考えている内に、先生は頭の上に生えたキノコを食べ始めた。
……普通頭にキノコ生えねえだろ…。
今日も先生の謎は深まるばかりである。
無事に学校も終わり、夕飯の買い出しをするために急いで帰路に着く。
何故なら今日は特売の日。この機を逃すわけにはいかねェんでさァ。
それから、より一層急ぐために屋根の上を飛びながらスーパーを目指していると、下校途中の見知った顔がチラホラと見えた。
少し立ちどまり、何をしているのかと見ていると、前原らしいやつが女の子と一緒に歩いている。
ははー、前原も隅に置けねェなあ。
どうやら渚達も彼のことを見ているようで、時間はまだあるからと声をかけようかと思っていたら、本校舎の奴らが来て、何やら揉め事が始まったらしい。
会話からして、前原は二股をされていたと。
そんでもって悪いのは頭の悪い前原だと言っていると。
はー、胸糞悪いったらありゃしねぇや。
そう思っていたら、新カレの方が足を上げたため、咄嗟に前原を横抱きにしてそれを避けた。
『大丈夫かィ、前原。』
「どっから来た!!?」
驚く前原を雨に濡れないよう静かに降ろし、目の前の奴らを軽く睨む。
さぁて、どうしてくれようか。
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白猫 - まじで面白いです。更新楽しみにしています。 (2019年10月7日 16時) (レス) id: fe959518f7 (このIDを非表示/違反報告)
餅みそ - 銀魂と暗殺教室のコラボ→神!!! つまりこの小説神!!!早く続きが読みたいです気になります!更新頑張ってください。 (2019年8月21日 18時) (レス) id: bfc2e3a90c (このIDを非表示/違反報告)
藍夜(プロフ) - 沖野猫松さん» コメントありがとうございます!面白いと言って頂けて、とても嬉しいです!これからも更新、頑張りますね! (2019年8月20日 19時) (レス) id: 47c8e13314 (このIDを非表示/違反報告)
沖野猫松 - とっても面白かったです!更新頑張ってください! (2019年8月20日 18時) (レス) id: 40ce46605e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:藍夜 | 作成日時:2019年7月21日 21時