祭り前日 ページ15
あれから日が経ち、私達は明日の祭りのために、朝から電車を乗り継いでいつかの街へとやってきた。
『えっと、予約した旅館はあっちの方にあるの。ここから30分くらい歩くのだけど、どこかで休んでいく?』
「いや、いいよ。そこまで疲れたわけじゃないしな。」
「それに、早く荷物を置いて、この辺りを少し散策しましょう!」
「そういえば、この付近に美味しいケーキ屋があるんだ。後でそこに行こう。」
あそこのケーキ、すごく美味しかったんだよなあ。
知らずのうちに頬が緩んでいたのか、それを見た夏目が笑いを零していた。
長いと思えたその道のりも、皆で楽しく話しながら歩いていれば、あっという間に着いてしまった。
それから朱羽は妖の姿になると、また明日来ると言って、手を振りながら山の方へと飛んで行った。
私達はそれぞれ男女で部屋に向かい、荷物を置くと、また来た道を戻り街にくりだす。
「そういえば、二人はここに来たことあったんだよな。どんな用事でなんだ?」
『んー、祓い屋稼業でだよ。夏目はただ単に巻き込んでしまっただけなんだけど…。』
そう言った瞬間に、軽く頭を叩かれた。
上を見上げれば、少し不機嫌そうな顔をした夏目がいて、どうしたのかと首を傾げる。
「あのなあ。あれは俺が勝手に行くと決めたことだろ。巻き込んだ、なんて言うな。」
『…そっか。ごめん。』
そうだ。あの時夏目は、私や名取さんの力になりたいからと、力を貸してくれたんだ。
少し笑みを浮かべながら謝れば、夏目もふっと笑ってくれた。
そうして話しに花を咲かせていたら、あっという間にケーキ屋に着き、それぞれ食べたいものを注文し、席に着く。
「へぇ。じゃあAちゃんは、一時期ここに住んでたのね!」
『うん。この街で颯魔に会ったんだよ。そしてそれから、朱羽や明日会う妖達とも仲良くなったの。』
ケーキを頬張りながら、この辺りのことについて少し話しをする。
またいじめてきていたあの人達に会うかもしれないという不安もあったが、今はもうそんな心配はしていない。
会ったとしても、私にはもうこんなに素敵な友達がいるのだから。
『はー、美味しかった!』
「本当美味しそうに食べるよな、Aは。」
「見てるこっちもいい気分になれるよ。」
『なんか恥ずかしいな。食べてるのをそう言われるのは。』
それからも和気あいあいと街をふらつき、日が沈む頃に旅館へと戻った。
いよいよ明日。待ちに待ったお祭りだ。
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うたプリ大好き?(プロフ) - 完結になっていますが、これで終わりなのでしょうか? (2020年10月18日 11時) (レス) id: 48370e286a (このIDを非表示/違反報告)
白猫 - この作品面白いです。更新頑張ってください!続き楽しみにしています。 (2019年9月27日 22時) (レス) id: fe959518f7 (このIDを非表示/違反報告)
蝶華 - 初めてこのお話を読みましたが凄く良いです!これからも頑張ってください!応援しています! (2019年9月2日 21時) (レス) id: 70b9e10207 (このIDを非表示/違反報告)
しろ(プロフ) - 更新お疲れ様です!最近夏目友人帳にニャンコ先生関連ではまっていてこの作品もとても楽しませてもらっています!徹夜して読みましたww 体調に気をつけて頑張ってくださいっっ!! (2019年7月20日 15時) (レス) id: a81fa4594d (このIDを非表示/違反報告)
藍夜(プロフ) - かなとさん» すみません、すぐに気づいて直してきました。ご指摘ありがとうございます! (2019年6月7日 22時) (レス) id: 4ffe17b14f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:藍夜 | 作成日時:2019年6月7日 22時