二十二石 ページ24
耳を抑える私をよそに、大樹は杠を揺さぶりながら必死に危ないだのと言葉を発する。
とりあえず、その声量を何とかしてくれないものか。鼓膜が今にも破れそうだ。
「司は俺の居場所を、あの世だとカン違いしてる。一方俺は、司の場所がいつでも分かる。こんな有利なバトルはねぇ!」
『相手は何も知らないのに対し、私達はあちらのことを少なからず知っている…そして、二人が司帝国にスパイとして潜入してくれれば、より有利ってわけだ。』
「ククク、ご名答!ミッションの詳細は杠に伝えた。大樹、テメーは杠を護れ。雑頭は余計なこと知らねぇ方が強ぇからな。」
「ああ!分かった!任せろ……!!」
それから私達は、その場を去りながらも話を進めていく。
司はこれから、千空の奇跡の水を使って若者だけを増やし、武力で統べる新世界を作るはずらしい。
となると、その若者たちは手練になる可能性が高いわね…。相手は獅子王司よ?そっちの類ならよく知っていそうだし。
だが、こちらだって負けていられない。だからこそ、科学で闘うために、革命軍を作ろうとしているのだ。
「でも、千空くんとAちゃん二人でどうやって…。」
「そうだ!奇跡の水、ショー酸を司に押さえられてたら、火薬も作れんし肝心の人間も増やせないんだぞー!?」
『もう忘れたの?二人とも。あるじゃない、人間を増やさなくてもいい理由。』
「狼煙をあげた謎の連中を捜し出して、仲間にゲットするんだよ…!!」
「つまりこの先は、俺たちは司帝国でスパイ。千空とAは科学革命軍。別れて闘うわけだな。」
「ククク、そういうこった。切ない別れにお涙も溢れまくるぜ。」
そうして、私達は意外とあっさり別れを告げて、それぞれの行く方角へと足を向けた。
二人とも、どうか無事で。
そう祈った時、大樹が大声で千空と私の名を呼んだ。
驚いてそちらを見れば、大樹が片手を力強く掲げていた。
それに思わず、笑みがこぼれる。
「ククク、俺達が戻るまでちーっと待ってやがれ。なぁに、3700年待ったんだ。今さら数ヶ月数年、どうっつうこたねえだろうよ。」
千空はそう言って、首に巻かれた布を当て木に巻き付け、それを掲げる。
私も千空の横に立ち、大樹と同じように腕を掲げた。
なんだか、少年漫画っぽくてかっこいいシーンだった気がする。
『さーて、思う存分こき使ってくれて構わないからね、千空。』
「ククク、はなからそのつもりだわ。覚悟しとけよ、A。」
203人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
藍夜(プロフ) - イチュキさん» コメントありがとうございます!そうですね、そういった身のこなしをするシーンも書きたいので、楽しみにして頂ければ幸いです! (2020年5月3日 9時) (レス) id: 1084e77889 (このIDを非表示/違反報告)
イチュキ - デュララ〇の臨也の真似してパルクールとかナイフさばきが上手い、とかありませんかね??さも当然のようにそういうことやって欲しいですよね!氷月にちょいと警戒るレベルで。あぁ、続きが気になります!是非!更新!を!まってます!! (2020年4月30日 16時) (レス) id: 301f9252cd (このIDを非表示/違反報告)
藍夜(プロフ) - りんごさん» ありがとうございます!期待にお応えできるように、精一杯頑張りますね!これからもどうぞ、この作品をよろしくお願いいたします。 (2020年4月9日 13時) (レス) id: 1084e77889 (このIDを非表示/違反報告)
りんご - 藍夜さん» コメ返ありがとうございます!よかった…いきなり他ジャンル出しちゃったらどうしようと思ってました。すみません。私もそのとあるアニメで歴史に興味(ryこれからも読ませていただきます!お体に気をつけて更新頑張ってください! (2020年4月7日 20時) (レス) id: ed57538bc3 (このIDを非表示/違反報告)
藍夜(プロフ) - りんごさん» コメントありがとうございます!そう言って頂けるだけで、とても嬉しい限りです!その通りです…!とあるアニメはまさにそれです!私自身それで歴史に興味を持ったので、今回設定に加えてみました! (2020年4月4日 20時) (レス) id: 1084e77889 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:藍夜 | 作成日時:2020年4月2日 1時