二十石 ページ22
千空side
頭に痛みが走り、攻撃をしかけてきたAの方を怒鳴りながら振り向いたが、俺の言葉は途中で途切れた。
Aが、とても辛そうな顔をしながら涙を流していたからだ。
『千空のバカ！何も死ぬことないじゃない！それか、こういうやり方前もって話しててよ！！バカ、バカ！！本っ当にバカ！』
そう言って、今度は声を上げて泣き出してしまった。
人よりは語彙力があるはずなのに、ほとんどバカとしか言わないのにも、そこまで泣くことにも驚かされる。
｢あのなあ、敵を欺くにはまず味方からって言うだろ？言ってたらテメーら、100億%焦ったりしねーだろうが。｣
『確かにそうだけど！もし復活液をかけても生き返らなかったら、どうしてたつもりなわけ！？』
相変わらず大粒の涙を流しながら、鋭い目付きで俺を睨めつけている。
治らない可能性なんて、無いに等しい。
Aだって、それはわかっているはずだ。
それなのに感情的になるAに、少しだけため息がもれた。
何もそこまで怒るこたねえだろ。
そう声を発しようとした時、ボソリと呟かれた言葉に俺はハッとした。
『…もう、誰も死んでほしくないんだよ。』
そうだ。そうだった。
こいつは、ここにいる誰よりも多く、人の死を身近に感じていた。
小学生の頃に病気で母が死に、中学で兄も病死し、父は事故死。
こいつは、誰よりも人の死を恐れている。
こいつはあまり弱音をはかないから、それがすっかり頭から抜けていた。
母や兄の病室に、足繁く通っていたのも知っている。
それなのに俺は＿＿
らしくはないし、非合理的であるが、そっとAを自分の方に抱き寄せ、頭を撫でた。
｢俺はそんな簡単に死なねーよ。｣
『……知ってるよ、この大バカ野郎。次やったらコブラツイストするからな。』
｢おい待てそれどこで覚えやがった。｣
俺がすかさずそう言えば、Aは小さく笑みをこぼした。
まだ目じりに残る涙を指ですくう。
正直やりたかねえが、惚れた弱みというやつなんだろう。
『あーあ、久しぶりにこんなに泣いたわ。女を泣かせるのは重罪だぞ、千空。』
｢勝手に泣いたんだろーが。｣
『うっわ最低。杠、こういう男にはひっかららないようにしなよ？まあ大丈夫だろうけど。』
｢う、うん。というか、Aちゃんはもう大丈夫？｣
『うん、大丈夫。落ち着いた。』
正直な話、内心だいぶ焦ってはいたし、少し罪悪感はある。
これだから恋愛脳は嫌なんだ。
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藍夜(プロフ) - イチュキさん» コメントありがとうございます！そうですね、そういった身のこなしをするシーンも書きたいので、楽しみにして頂ければ幸いです！ (2020年5月3日 9時) (
レス) id: 1084e77889 (このIDを非表示/違反報告)
イチュキ - デュララ〇の臨也の真似してパルクールとかナイフさばきが上手い、とかありませんかね？？さも当然のようにそういうことやって欲しいですよね！氷月にちょいと警戒るレベルで。あぁ、続きが気になります！是非！更新！を！まってます！！ (2020年4月30日 16時) (レス) id: 301f9252cd (このIDを非表示/違反報告)
藍夜(プロフ) - りんごさん» ありがとうございます！期待にお応えできるように、精一杯頑張りますね！これからもどうぞ、この作品をよろしくお願いいたします。 (2020年4月9日 13時) (レス) id: 1084e77889 (このIDを非表示/違反報告)
りんご - 藍夜さん» コメ返ありがとうございます！よかった…いきなり他ジャンル出しちゃったらどうしようと思ってました。すみません。私もそのとあるアニメで歴史に興味(ryこれからも読ませていただきます！お体に気をつけて更新頑張ってください！ (2020年4月7日 20時) (レス) id: ed57538bc3 (このIDを非表示/違反報告)
藍夜(プロフ) - りんごさん» コメントありがとうございます！そう言って頂けるだけで、とても嬉しい限りです！その通りです…！とあるアニメはまさにそれです！私自身それで歴史に興味を持ったので、今回設定に加えてみました！ (2020年4月4日 20時) (レス) id: 1084e77889 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：藍夜 | 作成日時：2020年4月2日 1時
