一石 ページ3
なんてこともあったなあ。
と、廊下を歩きながら物思いに耽ける。
あれから早くも数年が経ち、私達は高校生になっていた。
千空の知識はもはや科学者レベルにまで到達し、将来は凄い学者になるのだろうとつくづく思う。
私はと言うと、更に本で知識をつけた上に、アニメやゲームでも色々な知識を広く浅く取り入れていた。
興味というものは様々なことから起こるもので、私はかなりやばいオタクと化したことだろう。
そのおかげで増えた知識もあるし、今更後悔などしていないが。
むしろこの知識は今後に生かせるに決まっている。実の兄がそうだったのだから。
そしてあの時声をかけてきた子__千空とはそれからというもの、実験などに付き合いつつ、私の知識を話せと言われている。
千空とは
"俺にテメーの持ってる知識を話してくれるなら、俺はテメーを必ず歴史の立会人にしてやる。"
という約束を交わされた。
歴史好きの今となっては、それはとてもありがたいことである。
そんな千空は本当に凄いやつで、頭の良さには感服してしまうほどだ。
頭が良いわけではない私と、何故こうも長年一緒にいるのか疑問でしかない。
まあ、こんな私の頭を必要としてくれるのは、少し嬉しい気もするけれども。
そんなことを考えながらも、千空のいる科学部室へと入った。
『今日のご質問は?』
「あー、今は特にねえな。」
『じゃあ本読んどくわ。質問浮かんだら言って。』
こっちを見向きもせずそう告げた千空の横で、机に寄りかかり本を開く。
が、読んだ文字が一行にも満たないうちに、鼓膜が破れんばかりの声が部室に轟いた。
「聞いてくれ千空!!A!!俺は決めた!今日こそ今から!!この五年越しの想いを杠に伝える!!」
この声の主は、大木大樹。"名は体を表す"という言葉を、そのまま形にしたかのような男だ。
相変わらず声がデカいなこいつ。
覚悟は伝わってくるが、うるさくて仕方ない。
「ほーん、そりゃすげえ興味深い深い。声帯がブチきれるほどAと応援してるわ。この科学部室から。」
『いや、私はブチ切りたくないからな?応援はしてるけれども。』
「おおそうか、ありがとう千空!A!」
「うるせえな。1mmも応援してねえよこのデカブツ。」
「なにい、どっちだー!」
「そもそも、五年も何も言わねぇとかバカはどんだけ非合理的だ。」
『…その点俺は合理的ってか。』
そう呟くと、よく分かってんじゃねえかと返ってきた。
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藍夜(プロフ) - イチュキさん» コメントありがとうございます!そうですね、そういった身のこなしをするシーンも書きたいので、楽しみにして頂ければ幸いです! (2020年5月3日 9時) (レス) id: 1084e77889 (このIDを非表示/違反報告)
イチュキ - デュララ〇の臨也の真似してパルクールとかナイフさばきが上手い、とかありませんかね??さも当然のようにそういうことやって欲しいですよね!氷月にちょいと警戒るレベルで。あぁ、続きが気になります!是非!更新!を!まってます!! (2020年4月30日 16時) (レス) id: 301f9252cd (このIDを非表示/違反報告)
藍夜(プロフ) - りんごさん» ありがとうございます!期待にお応えできるように、精一杯頑張りますね!これからもどうぞ、この作品をよろしくお願いいたします。 (2020年4月9日 13時) (レス) id: 1084e77889 (このIDを非表示/違反報告)
りんご - 藍夜さん» コメ返ありがとうございます!よかった…いきなり他ジャンル出しちゃったらどうしようと思ってました。すみません。私もそのとあるアニメで歴史に興味(ryこれからも読ませていただきます!お体に気をつけて更新頑張ってください! (2020年4月7日 20時) (レス) id: ed57538bc3 (このIDを非表示/違反報告)
藍夜(プロフ) - りんごさん» コメントありがとうございます!そう言って頂けるだけで、とても嬉しい限りです!その通りです…!とあるアニメはまさにそれです!私自身それで歴史に興味を持ったので、今回設定に加えてみました! (2020年4月4日 20時) (レス) id: 1084e77889 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:藍夜 | 作成日時:2020年4月2日 1時