十四石 ページ16
軽く汗を流し終え、杠達よりも先に温泉から上がり、星空を眺めていた。
理系のものは嫌いだったけど、星空を見上げるのは昔から好きだった。
昔住んでいた場所が少し田舎で、夜になるといつも星を見上げていたのを覚えている。
こうして邪魔な光もないと、こんなにも綺麗に見えるんだな。
「おいA。硫黄摂るの手伝ってくれ。」
『お、千空。もちろんいいよー。』
硫黄を入れるための袋を持ち、千空の後に続いて硫黄をその中に入れていく。
相変わらず、こういうことになると子供みたいな顔になるんだから。千空も可愛いところあるよなあ。
なんて思いながら見つめていれば、ふと目線を上げた千空と視線が絡む。
何故だか無性に恥ずかしくなり、それから逃げるように袋の中に視線を落とした。
「…お前、復活したのいつ頃だ?」
『へ?あー、あの日の朝方かなあ。実は好奇心に負けて、楠の辺りからあちこち走り回ってたんだよね。すごく楽しかった。』
「お前はいつから野生児になったんだ?」
『しょうがないでしょ。こういうの一度はやってみたかったし。
千空達の所に辿りつくの、普通に行ってたらもう少し早かっただろうなとは思うけど、反省も後悔もしてない。』
「ま、司には会ってねえようだし、反省も後悔もしなくて大いに結構。」
…会ったところで、特に何もなかったと思うけど。
いや、違うな。会っていた場合、千空の味方だと分かれば人質に取られる可能性があった。
そうならずに済んだし、結果オーライって事でいいのかな。
『……ねえ、千空。』
「あ?」
『助けてくれて、ありがとね。』
私がずっと言いたかったことを伝えると、一度目を見開いた後、鼻で笑われてしまった。
なんだこいつ。礼を言ったのに鼻で笑うとか、失礼極まりないも思うんだが?
「礼を言われるようなことはしてねーよ。お前の力で勝手に起きてきたんだろうが。」
『じゃあ、あの洞窟にあった土器はどう説明してくれるわけ?私の推測だと、あの中身は復活液に使う液体でしょ?』
「さすがA先生。ご名答だわ。あの液体は硝酸。あれを」『あー、いい。説明されてもわからん。』
「ま、だろうな。だが、あの硝酸だけじゃ普通の奴らは復活しねえ。石化が解けたのは、お前が石化中ずっと考え事をしてたおかげだ。」
『まあどうであれ、あの洞窟に運んでくれたのは千空でしょ?だから、ありがとうなの。素直に受け取れ科学馬鹿。』
「へーへー、口が悪いこって。」
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藍夜(プロフ) - イチュキさん» コメントありがとうございます!そうですね、そういった身のこなしをするシーンも書きたいので、楽しみにして頂ければ幸いです! (2020年5月3日 9時) (レス) id: 1084e77889 (このIDを非表示/違反報告)
イチュキ - デュララ〇の臨也の真似してパルクールとかナイフさばきが上手い、とかありませんかね??さも当然のようにそういうことやって欲しいですよね!氷月にちょいと警戒るレベルで。あぁ、続きが気になります!是非!更新!を!まってます!! (2020年4月30日 16時) (レス) id: 301f9252cd (このIDを非表示/違反報告)
藍夜(プロフ) - りんごさん» ありがとうございます!期待にお応えできるように、精一杯頑張りますね!これからもどうぞ、この作品をよろしくお願いいたします。 (2020年4月9日 13時) (レス) id: 1084e77889 (このIDを非表示/違反報告)
りんご - 藍夜さん» コメ返ありがとうございます!よかった…いきなり他ジャンル出しちゃったらどうしようと思ってました。すみません。私もそのとあるアニメで歴史に興味(ryこれからも読ませていただきます!お体に気をつけて更新頑張ってください! (2020年4月7日 20時) (レス) id: ed57538bc3 (このIDを非表示/違反報告)
藍夜(プロフ) - りんごさん» コメントありがとうございます!そう言って頂けるだけで、とても嬉しい限りです!その通りです…!とあるアニメはまさにそれです!私自身それで歴史に興味を持ったので、今回設定に加えてみました! (2020年4月4日 20時) (レス) id: 1084e77889 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:藍夜 | 作成日時:2020年4月2日 1時