孤高の狼少女 (ページ8)

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７　北からのMessenger ページ8

私はウルフを追いかけた。もしかしたら戦兎さん達の匂いを終えるかもしれないと思ったけれど、合ってたみたいだ。出来るだけ早く見つけないと私だって危ない。人気のない道を通り抜ける。その時、茶色のコートを着た男の人とすれ違った。本当に何気なく。すれ違う瞬間、男の人に腕を掴まれる。
『え……？』
「A……？」
私は立ち止まった。それほどその人が力強く私の腕を握ったから。
「Aだよな？何で東都に……？」
私のことを言ってるの？
『誰……？』
「何言ってんだよ、A。まあ良い。北都に帰るぞ」
男の人が私の腕を引っ張った。
『ちょっと……！』
「どうしたんだよ、A……！」
私は足を踏ん張って、男の人は私の腕を引っ張る。周りには誰もいない。
『……誰なんですか、貴方！』
私は堪らなくなって叫んだ。それを聞いて男の人がピタリと止まる。
「俺のこと覚えてないのか？」
男の人の顔がすっと青くなった気がした。お互い何も言えなくて、まるで私達の周りを何かが包み込んで蓋をしてしまったみたいに音が消える。私は男の人の顔から目が離せなかった。どこかで、どこかで会ったことがある。
『貴方は……誰？』
私の小さな声が響いた。男の人の両目が見開かれる。次の瞬間、私の視界の中にウルフが飛び込んで来た。
　バリバリッ
「うわっ!?」
『っ……ウルフ!?』
ウルフが口から電撃を放つ。突然の攻撃に男の人が驚いて手を離した。ウルフが私のズボンの裾を引っ張る。そうだ。戦兎さんの所に行かないと。私はウルフの後を追って急いでその場を後にした。