孤高の狼少女 (ページ7)

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６　戦争のBeginning ページ7

戦兎さん達と暮らし始めて一週間。私の記憶喪失はどうやら生活に支障が無いみたいで、皆と暮らす中でも問題は起こらなかった。一方戦兎さんは一つ新しいメカ？を作り上げた。メカ、と言っても動く生き物に近いが。
「うわっ！何で開発者の俺には全く懐かないの!?」
そう、そのメカは戦兎さんに全く懐かない。もちろん龍我さんや美空さん、記者の紗羽さんにも。
『あ、また噛み付いて……やめなよ、ウルフ！』
ただ不思議なことに私には懐いた。本当に不思議。このメカは自律行動型ユニット？とかいうロボットで狼の姿をしている。まさにメカ狼って感じだ。名前もそのままウルフだ。
『ウルフはいい子だね〜』
私は飼い犬のようにウルフを撫でる。その時、テレビから凄まじい爆発音が流れた。驚いてそこに目をやると、「北都侵略！」の文字が。
「遂に戦争が始まったんだ……」
『戦争……。北都？』
頭の中で何かが見えた気がした。
　バンッ
カフェの扉が勢いよく開く。東都のガーディアンが中に入ってきた。
「何だ!?」
『っ……』
驚く私達の横でテレビがビルドを軍事兵器として使用することを告げた。

私は美空さんと二人で地下室に残っていた。戦兎さんと龍我さんは東都の官邸に向かった。本当に仮面ライダーを軍事兵器として扱うことになるかもしれない。そう呟きながら。
「戦兎達、大丈夫かな……」
『……私、二人を探してくるね』
そう言って私は立ち上がった。
「だったら私も……！」
『駄目。美空さんはここにいて。ファウストに捕まっちゃうかもしれないでしょ？』
「だったら狼花だって……」
『私はウルフを連れて行くから。それに、ボトルも持って行くし』
「それでも……！」
私は優しく美空さんの肩を押さえた。
『大丈夫。ここで待ってて』
私は出来るだけ明るい笑顔を浮かべて地下室を去った。彼女の心に大きな傷を残してしまったことを知らずに……。